おしっこが近い、尿漏れでズボンが…中高年男性が直面する排尿障害
ただ、高橋医師が言うには、人間が排尿障害になるのはある意味仕方がなく、いわば生物としての宿命的なものなのだとか。
「もともと長い間、生物は四足歩行の動物だったわけで、当然排尿や排便も四つ足で行われていました。そのなかで類人猿が生まれ二足歩行を獲得するわけですが、歴史を鑑みてもそれほどたっていないのです。つまり、生物が長い年月の間に確立した排泄の方法と比べて、人間のそれは不完全なものと言えます。それゆえ、膀胱に溜まった尿を排出する際、膀胱の出口が十分に開かない体質の人が、非常に多いのです」
しかも、平均寿命が50歳程度の戦前であればいざ知らず、80歳を過ぎた老人が元気に闊歩している現代では膀胱にかかる負荷の影響が顕在化しており、それが排尿障害に繋がっているというのだ。
「膀胱に溜まっているおしっこを尿道へ押し出そうとするとき、膀胱の出口が狭いままだと何が起きるか。膀胱の筋肉に余計な負担がかかり、出口は激しく振動します。これをトイレに行くたびに繰り返すうち、膀胱の出口の筋肉は変形して柔軟性を失い、硬くなっていくのです」
この状態は“膀胱頸部硬化症”と呼ばれ、ますます出口が開きづらくなる悪循環に陥ってしまう。そしてその先は、男子の最大の鬼門である、前立腺のトラブルへ一直線となる。なにしろ80歳以上の日本人男性のうち、8割が前立腺肥大症を患っているという調査結果もあるのだ。
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「排尿障害」があると……
1. 急性前立腺炎:頻尿、残尿感、血尿などの症状。細菌感染が原因でも発症する
2. 慢性前立腺炎:一般には原因不明とされる。症状は頻尿、残尿感、尿道の痺れ
3. 膀胱頸部硬化症:膀胱出口が十分に開かず、硬くなることで排尿困難に繋がる
4. 前立腺肥大症:症状は前立腺炎と同じ。悪化すると、尿が出なくなる尿閉に!
5. 男性不妊症:前立腺液が質、量ともに十分に分泌されず、精子の活動を弱らせる
6. 前立腺がん:初期症状として、頻尿、残尿感、排尿時の痛みがあるので要注意
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「多くの泌尿器科医の間では、前立腺肥大の結果として尿道が圧迫され、排尿障害が起きると考えられていますが、順序が逆です。膀胱の出口が窮屈な状態での排尿は、ホースの先を指で押さえると水が勢いよく飛ぶのと同様に、ジェット水流の状態になります。前立腺は尿道を取り囲むように接している器官ですから、尿が前立腺の中を何度も渦巻くことで粘膜を傷つけ、石灰が沈着していくのです」
現在のところ排尿障害の結果として前立腺が肥大する、という見立ては、泌尿器科医の中では異端の主張である。だが高橋医師は、
「そのような患者を何人も診て、治癒させてきた」と自信満々だ。
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