激安葬儀でトラブル続出。新卒女子が泣いて「私には納棺できません!」
このようなモラル破壊、おおよそ葬儀にふさわしくない非人情な下請け葬儀社の行動は、激安葬儀に起因すると佐藤氏は言う。
「先ほどの激安葬儀業者Aの直葬プランで、必要な項目、かかる金額を下記で説明します。下請けの葬儀社が11万8000円で赤字を出さずに葬儀を執り行うのは不可能。本来なら棺代(納棺も含む)だけで8万円必要だからです」
8万円の仕事を1万3000円で受け、利益はわずか5万円以下。もしこの仕事ばかりが続くのであれば、金銭的な余裕も、社員教育の時間も持つことは難しいだろう。
<通常の葬儀>
寝台車(安置所へ) 3万円
ドライアイス 2万4000円
枕飾り 1万5000円
安置料金3日 1万5000円
棺代 8万円
役所手続き 1万5000円
寝台車(火葬場へ) 1万5000円
火葬料 2万5000円
骨壺 1万2000円
花 5万円
スタッフ 5万円
白木位牌 5000円
合計 33万6000円
<激安葬儀>
寝台車(安置所へ) 0円
ドライアイス 1万2000円
枕飾り 1万円
安置料金3日 0円
棺代 1万3000円
役所手続き 0円
寝台車(火葬場へ) 0円
火葬料 2万5000円
骨壺 5000円
花 3000円
スタッフ 0円
白木位牌 2000円
合計 7万円
激安葬儀の価格 18万8000円
葬儀社の激安葬儀による利益 4万8000円
※激安葬儀の価格「18万8000円」から、激安葬儀費用「7万円」と激安葬儀業者の中抜き金額「7万円」を引くと4万8000円となる(佐藤氏調べ)
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「昨今の葬儀も節約という流れで、街の葬儀社さんも高単価の仕事が減少。利益度外視で激安葬儀業者の仕事を受けざるを得ないのです」
ゆえに数をこなそうと、一日3つの激安葬儀を回し、従業員も疲弊。激務だけで給料も上がらないから、従業員の緊張感もなくなる。
「生活保護受給者が喪主となって直葬する場合、東京都では20万6000円の葬祭扶助が国から出ます。それ以下で葬儀を行う会社に、安心して葬儀を任せられますか?」
原資という最低限の保証すら与えず、下請けを酷使する激安葬儀業者。これが業界の現状だ。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
― [激安葬儀ブーム]の闇 ―
「通常の葬儀」と「激安葬儀」見積もり額の比較
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