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3度の早期退職募集をスルーし、会社にしがみついた男の結果は…

 時代の変わり目に合わせるかのごとく、企業の“人切り”が急速に進む昨今。その犠牲になろうとしているのが45歳以上の会社員たちだ。「人生100年、70歳まで現役」が標準化されようとしている現代においてあまりに早いタイミングでの会社からの不要宣告をどう乗り切るべきなのか? 45歳以上はクビ!の恐怖

会社にしがみついた男の生存戦略

 早期退職を決断する人もいれば、意地でも会社にしがみつこうとする人もいる。自動車部品メーカーに勤める板野章夫さん(仮名・53歳)もそのひとりだ。 「45歳を過ぎてから今まで3度の早期退職者の募集がありました。同僚は次々と辞めて同期は現在2割もいませんが、今もなんとか会社に残ることができています」  会社に残る理由、それは収入の問題だと板野さんは言い切る。 「通常よりも大幅に上乗せされた退職金は魅力ですが、あれは“毒まんじゅう”。目先の大金に釣られて会社を辞めて後悔する人は多いですし、『辞めなきゃよかった』と口にする元同僚もいました。最盛期に900万円もらっていた年収が600万円台まで下がりましたが、それでも大したスキルのない自分が会社に残る決断をしたことは間違っていないと言えます!」  どうにかしがみつこうとする板野さんに対して会社からさまざまなプレッシャーがかかった。 「自由参加だった早期退職の説明会に必ず出席するように上司に強要されたのですが、同僚に話を聞くと、強要された者とされなかった者がいて、社員の間では『すでに選別が始まっている』と噂になりました。  また、会社側からは『辞めなくても出向し、そのまま転籍となって戻れない可能性が高い』という脅しと、『今後はこれ以上の退職金は出ないし、給料ももっと減る。今、辞めるのがあなたのためです』と情に訴える説得とが、繰り返し設定される面談のたびに行われています」  現在は「仕事もほとんどないので、ともかく平身低頭して、居場所づくりに精を出している」と板野さんは自嘲的に笑う。 「資材管理を担当していますが、本来は片手間でもできる業務で基本的に一日中ヒマ。最近は昔のファイルのデータ化や資料の整理を率先して行い、年下の部下の心証を少しでも上げることに全力を注いでいます。周囲にどう思われているかは知りませんが、私立に通う子供を育てるための最適な行動だと信じています」  愛する家族を守るために今日も板野さんは頭を下げ続ける。 <取材・文/週刊SPA!編集部 モデル/カーリー> ― 45歳以上はクビ!の恐怖 ―
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