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ドラクエGO、ハリポタGO、マイクラGO。位置ゲーそれぞれの強みと死角

ファンが求める『ハリポタ』位置情報ゲームを実現できるか?

『ハリー・ポッター:魔法同盟』 ナイアンティック 2019年配信予定

『ハリー・ポッター:魔法同盟』。日本語ボイスも付き、大人になったハリーを吹き替え版の声優・小野賢章さんが担当する

『ハリー・ポッター:魔法同盟』は、『ポケモンGO』のナイアンティックが新たに手がける位置情報ゲーム。プレイヤーは魔法使いとなって、現実世界に出現した魔法生物や魔法道具などを、魔法界に返す活動をしていきます。RPG風に職業やスキルの概念が導入されているのが、『ポケモンGO』との大きな違いです。 ストロングポイント ・『ポケモンGO』のノウハウを生かせる ・『ハリー・ポッター』の知名度の高さ ウィークポイント ・魔法生物の人気・数にやや不安 ・ゲームとの相性がどうか?  小説、映画だけでなく、USJに登場したエリアも大成功を収め、日本でも高い人気を誇る『ハリー・ポッター』。こちらも注目度が高いタイトルです。運営が『Ingress』『ポケモンGO』のナイアンティックなので、すでに位置情報ゲームのノウハウがあるのも強み。  ただ、原作の知名度は抜群なものの、ニフラー、ヒッポグリフなどの魔法生物はキャラとしてポピュラーとはいえず、種類も限られています。『ポケモンGO』が段階的に各世代のポケモンを解禁し、話題を集めているのに対し、早々にネタ切れになる懸念があります。  また、スキルツリーなどRPG的なゲーム性と、ファンが求める『ハリポタ』位置情報ゲームとのギャップも気になるところ。あまり本格派のRPGに寄りすぎると、かえってユーザーが離れてしまうかもしれません。

『マイクラ』ファンは多いがライトユーザー層まで取り込めるか?

『マインクラフト アース』 マイクロソフト 今夏クローズドベータテスト予定

『マインクラフト アース』。他プレイヤーと協力してクラフトしたり、ミニアドベンチャーのためのチームを作ることもできる

「『テトリス』を抜いて世界一売れたゲームになった」とも言われる、もの作り系ゲーム『マインクラフト』。5月17日にマイクロソフトが『マインクラフト アース』を発表するや、『マイクラGO』として一気に話題となりました。ブロックでできたマイクラ世界を歩き、素材や動物などを集めて、自由に建築物を作っていきます。 ストロングポイント ・実況動画も人気で、現在進行形の『マイクラ』ファンが多い ・『マイクラ』自体のゲーム性が深い ウィークポイント ・ライト層に訴えかけるキャラの不足 ・素材集めがノルマになる懸念  もともとスウェーデンのインディーゲームだった『マインクラフト』は、実況動画の人気もあって、口コミ的に広まっていきました。熱心な『マイクラ』ファンは世界中に多く、『マインクラフト アース』もそうしたファンを獲得できるのが、人気・収益でも有利な面です。 「もの作り」「探険&サバイバル」というもともとの面白さに、位置情報ゲームが+αで加わり、ゲームとしてはかなり遊び込めるものになるはず。とはいえ、ライト層に訴えかけるキャッチーなキャラには欠け、『ポケモンGO』級のブームになるかは微妙。位置情報ゲーム部分が、素材採集の作業になってしまわないかもやや気に掛かります。  3タイトルを比べると、日本では『ドラゴンクエスト ウォーク』が頭ひとつ抜きん出ている状況。配信当初の瞬間最大風速は凄まじいものがありそうです。一方、『マインクラフト アース』は10~20代のゲームファンから火が点き、ジワジワと支持層を拡大していくのではないでしょうか。  どれかひとつが覇権を握るというよりも、年代別でプレイする位置情報ゲームが分かれるという可能性も考えられます。10~20代は『マインクラフト アース』、『ハリポタ』旋風のなかで育ったアラサーは『ハリー・ポッター:魔法同盟』、ファミコン世代なら『ドラゴンクエスト ウォーク』、そしてシニア層は『ポケモンGO』。何はともあれ、今年の下半期は散歩に出るのが楽しくなること間違いなしです!
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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