見知らぬ男性が片手を中指を立てて走り去る
そう言うとKさんは、我々を先導し、白山周辺をぐるりと一回り案内してくれた。なんとも頼もしい人物である。
有名な大衆中華店らしい。ものすごく良さそうだが、行列もものすごいので断念
こちらは湯豆腐が有名な老舗。しかしコースで5500円からだったので、もちろん断念
ここでまたしても珍事発生。我々がこの湯豆腐屋の佇まいを眺めて喜んだりしていると、その目と鼻の先、信号も、自動販売機も、何もない歩道へ、30代くらいと思しき男性が自転車で停止した。
「邪魔なのかな?」と道を空けるも特に反応がないので、引き続き店頭のメニューなど見ながらあーだこうだと話を続ける。まだいる。気になる。数十秒後、もう一度チラと見ると、それまで微動だにしなかった男性は、片手の中指を立てた「●ァック」の形にしてあきらかに我々の方へ向け、そのまま無言で走り去ってしまった。
一体なんなんだ。
とても親切に案内してくださり、なんとなく白山周辺の地形も把握できたところで、Kさんは飲み会へと向かわれた。我々は駅前に戻り、目の前にあった立ち飲み屋「なかや」で飲み始めることに。
まずはビールで乾杯。
いかにも清潔な店内を見回すと、冷蔵庫には「赤星」ことサッポロラガーが並び、立ち飲みのイメージを超えて日本酒や焼酎の揃えが豊富。
清野:お、「丸眞正宗」がある。赤羽の酒蔵で、あまり置いてるところないんですよ。いい店だな~。
――こっちの「多満自慢」は西東京の酒ですよ。お酒のチョイスにこだわりを感じますね!
清野:むしろちゃんとしすぎですね。飲み屋なんて、もっと雑でいいのに。
――(笑)。ところで清野さん、最近プライベートだとどんなお店で飲まれてますか?
清野:ほぼチェーン店です。本当に好きですね。顔馴染みじゃない店。
――仕事で特殊な酒場に行きまくってるから。
清野:もう仕事以外ではあまり人と話したくないんですよ。静かにホッピー飲みながら、本でも読んでたいですね。店員さんとも必要最低限しか話したくない。メニューが手元で入力できるタッチ式だったら、なお最高ですね。
――だけど仕事じゃなくても、「ここは気になる」ってお店を見つけたら、体がうずいてしまうんじゃないですか?
清野:もちろん赤羽だとそうですね。他の街だとあまりしないようにしてます。体も心も持たないので(笑)。
一番奥は「しろ」の串焼き。「せっかくだから『白』にちなんだものを頼んでみました」という清野氏のサービス精神はさすが。このあとに入る店でも、必ず白い色にちなんだメニューを頼んでみようという新ルールが加わる
「日本ドミノ協会」会長からもらったという黄金のドミノ。「これを持ってると愉快なことがたくさん起こって、全てがいい結果に向かうとか向かわないとか(笑)」(清野)
黄金のドミノのご利益か、一軒目「なかや」は名店だった。串焼きも、追加したジャスミン焼酎「茉莉花」のジャスミン茶割り「ジャスミン・ジャスミン」も絶品。少し酔い、再び街へ繰り出す。