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見知らぬ男に中指を立てられた「文京区白山」の夜――清野とおる×パリッコ

本日最後の「白」にまつわるメニュー

 聞けば女将さんはこの道37年。親切に界隈のことや、お店についてのお話を聞かせてくださる。「お客さんのグラスが空になってたって『おかわりは?』なんて言いません。欲しいなと思ったら空いたグラスをカウンターに乗せてね」そんな気遣いに良き人柄がにじむ。 清野:今日は本当にいいお店に出会えて嬉しいです。 女将:あらそう? いいかどうかはわかんないけど、気に入ってもらえたなら良かった(笑)。 ――実は今日、飲み歩きの取材をしていてここにたどり着いたんです。こちら、漫画家の先生なんですけど。 女将:あらやだ! うちの常連さんにも漫画家の先生いるのよ、エロ漫画家! 清野:僕もエロ漫画家なんです!  もちろんすぐに冗談だと訂正し、そして意気投合するふたり。結果、基本的には断っているけど、特別にこの本に「一休」のことを載せて良いというお許しまでいただけた。
酒場人

タイカレー

「今日食べに行く」と言う常連さんがいたため、特別にありつけたご飯もの。これがまた、しみじみとうまい。レッドカレーとのことだが、かなり白い。レッドでもあるがホワイトでもあると言って良いだろう。本日最後の「白」にまつわるメニューは、このタイカレーということになった。  最後にこれまた自家製の「柚子味噌」をいただく。濃縮した味噌と柚子が徐々に口の中でほどけ、旨味と香りを広げる。これほど酒を呼ぶつまみはなかなかない。全員で再訪を誓い、名残惜しくも店を後にした。  以上で、清野とおる氏と飲み歩いた白山(~巣鴨)のレポートを終える。清野氏が発する強力な磁場により、ちょっと普通でないような出来事、出会いも多くあったが、最後にはしみじみと良い、末永く通いたくなる酒場を探りあててしまう。  街歩きの達人、そして酒場人としての凄みを見せつけられた夜だった。 <文・写真/パリッコ> 【清野とおる】 漫画家。1998年デビュー。2008年から連載を始めたノンフィクション漫画『東京都北区赤羽』『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』シリーズが大ヒット。現在は『東京ウォーカー』(KADOKAWA)にて「東京怪奇酒」を連載中。『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』『ゴハンスキー』など著書多数

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