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中年の無一文は幸せになれるのか? 今の日本では…

“こじらせ中年”が急増中

資産回復を目指すなら、長期運用の視点を持つ

 それでも、失った資産を回復したい場合の行動指針について、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏は、まずは転落の原因を直視することが大事だと話す。 「仕事なのか生活なのか、または家族の影響なのか。そして家族がいる場合は、一人で抱え込まずに家族で共有することです。格好つけずに妻や子供にも隠さずに内情を伝え、今後の人生設計を家族全員で立て直していきましょう」  そして何よりも、ここから一発大きく当てて再起を図ろうという考えは厳禁だという。 「まずは借金を返すことを最優先にします。家計を圧迫する固定費の見直しをして支出を減らしましょう。生命保険や通信費の見直しは削減効果が大きいです。車を手放す、不要なサービスの解約なども必要かもしれません」  不要なものをすべてデトックスして、状況を見つめ、そこから地道にまた貯金を再開する正攻法しか道はないようだ。 「今の超低金利時代に預貯金だけでお金を増やすのは難しい。一部資金で、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの非課税優遇のある口座を使い、長期で国内外のインデックスファンドに分散投資をするなど、ゆっくり増やしていくことが大切です」  ただしiDeCoは60歳までしか加入できないため、40代~52、53歳ならOKだが、50代半ば以降からは運用期間が短くなるため、選択する商品には注意が必要だという。  とはいえ、今後老いていく一方の身としては、途方もない道のりに思える。そこで明確な指針が欲しい場合、平均手取り年収や老後生活費率、現在の資産額を基に算出する「必要貯蓄率」を求めると、1か月当たりの「必要貯蓄額」がわかるので精神的にも少しばかりはラクだ(岩城氏のHP上でも計算可能)。  一気に数百万円失ったから一気に取り戻したいと焦る気持ちもわからなくはないが、毎月2万、3万円でも着実に貯金を積み重ねることが資産回復の最短距離のようである。
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“プロ奢られ屋”が語る、独自のお金の価値基準
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