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九州南部の豪雨、避難指示が出ても99%は逃げなかった大問題

実際に避難したのが全体の0.3%

 鹿児島市によると、市内に住む59万人に避難指示が出たにもかかわらず、実際に避難したのが全体の0.3%に相当するわずか1800人だったという衝撃の事実も明らかとなっているからだ。松島氏が続ける。 「『今まで大丈夫だったから』という人が多いが、根拠のない楽観は禁物です。東京でも近年、荒川が氾濫した場合、銀座は水没し、250万人が避難を余儀なくされるというシミュレーションが広報され、都民の多くが危険を頭で理解するようになったが、『今まで大丈夫だったから』と、そんなことは起きないと思っている人も多い。  経験値の少ない地域は被害が大きくなりやすい一方、昔から洪水や土砂災害の多い地域では、住民の間に防災教育が浸透しているところもある。今後はそういったコミュニティのなかで、お年寄りや体の不自由な人たちの避難をどうサポートするかが課題となるはず。普段からお茶の一杯でも飲めるような関係性を築いておくことが重要なのです」 集中豪雨による主な大規模災害 多くの犠牲者を出した昨年の西日本豪雨を受けて、政府の中央防災会議は、水害・土砂災害からの避難のあり方について提言をまとめている。 「行政は万能ではありません。皆さんの命を行政に委ねないでください」 「避難するかは『あなた』が判断してください。皆さんの命は皆さん自身で守ってください」  行政主導の避難対策の限界を訴えたうえで、それぞれが自主的に避難することを促すメッセージを出しているのだ。松島氏が言うように、今後は近隣住民で地域に特化した防災マップをつくるなど防災教育を徹底させ、住民同士で助け合うようなルールづくりが求められているということだろう。 ※週刊SPA!7月9日発売号「今週の顔」より 取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/山崎 元(本誌) 写真/毎日新聞社/ アフロ 時事通信社
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週刊SPA!7/16・23合併号(7/9発売)

表紙の人/ 小芝風花

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