更新日:2019年07月29日 14:14
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元・不登校児たちに聞いた「大人になって後悔してますか?」

友達ゼロで職も転々。尾を引く不登校時代

不登校は生活リズムが乱れ、社会から一層孤立しがち。不登校でも、早寝早起きはしたほうがよさそう(写真はイメージです)

 小学5年生から中学卒業までいじめで不登校になった引田敏夫さん(仮名・42歳)も、今になって不登校を後悔している一人だ。 「学生時代の友人はゼロで、ネットを通じた知り合いが数人いる程度。結婚式に呼ばれることもないし、人付き合いの仕方がわからないから、彼女いない歴=年齢です。体育祭や修学旅行など学校生活の思い出も皆無なので、ドラマやマンガでそういうシーンを見ると羨ましくて胸が締めつけられます。人生全体に不登校という暗い影を背負ってしまい、一生後悔するんだろうなと思っています。将来、孤独死しそうで怖いです」  不登校の期間は昼夜逆転の生活を送り、一日10時間以上、延々とテレビゲームを続けていた。 「ほかにすることがなかっただけで、ゲームをしていても全然楽しくはなかった……」(引田さん)  引田さんはこれまで10以上の仕事を転々とし、現在は部品メーカーに勤務。なんとか正社員になれたが年収は200万円台だ。

社交性がなく、仕事は長く続かない

「小学5年から10年以上、ほとんど引きこもり状態で、人とのコミュニケーションが苦手で……。社交性はないし、仕事も続かないし、嫌なことがあるとすぐ逃げる性格になってしまいましたね。これまで10回以上、短期間で会社を辞めてしまっていますし」  中学3年から不登校になり高校も3日で中退した佐々木隆一さん(仮名・27歳)も、「不登校には大きなデメリットがある」と話す。 「当時、学校に行かなくても大丈夫というテレビの話を真に受けて、海外ドラマにハマっていたこともあり、なんとなく面倒で学校に行かなくなりました。家ではゲームしたり、まったり自由に過ごしていましたね。浪人して大学に入ることができたのですが、先輩や同期の友人に助けられながら卒業できた。不登校のときは一人でも平気だと思っていたけど、人間関係の重要さを学びました」  佐々木さんは不登校のせいで基礎学力が不足し、「大学に入って勉強についていけず大変だった」と振り返る。  学力や学歴の壁に阻まれる元・不登校児は多い。無気力が原因で不登校になった吉田明日香さん(仮名・22歳)は高校中退で、最終学歴は中卒。 「今、看護の仕事に就きたいと思うようになったのに、不登校だったことで夢がかなえられない。普通に高校に通っていたら、別の人生を歩めたはずなのにって後悔しています」  職業の選択肢が狭まり、低賃金でブラックな労働を強いられることもある。
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自分はこのままでもいいんだと前向きになれた
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