東京五輪チケット高額転売の裏側。開会式A席は144万円も!
東京五輪チケットの第1次抽選販売では応募が殺到し、観戦希望者が予想以上の数に上ることがわかった。だが、一方ですでに転売市場は活発化していた!
東京五輪がいよいよ1年後に迫るなか、6月に観戦チケットの第1次抽選販売が行われた。当選者の9割が購入期限までに入金を済ませ、総チケットの約4割にあたる約322万枚の販売が完了したという。大会組織委員会は8月に第2次抽選販売を行うことや、チケット保有者が定価で転売できる「公式リセールサービス」を設けることも発表しており、1次落選者にも獲得のチャンスはまだ残っている。
しかし、一方で懸念されていたある動きが密かに活発化している。都内在住の会社員・Tさん(28歳)はこう明かす。
「友人らと協力してサッカーの試合に応募したところ、準々決勝が当選した。でもA席3人分で計6万3000円とちょっと高い。ちょうど、友人も準決勝で安いC席が当選したので放棄しようと思ったんです。そんなとき、友人行きつけのスポーツバーで転売相手を探してくれると聞き、店主に頼んだら3日後に連絡が来ました。
その後、店で購入希望者の男性と落ち合ったのですが、10万円が入った封筒を差し出してきたので即決でした。その場でクレジットカードで決済し、名義を男性のものに変更しました。お金は友人らと山分けしましたが、まさかこんな臨時収入になるとは(笑)」
過去大会の例に漏れず、東京五輪でもチケットの不正転売は禁止され、転売阻止のため公式販売サイトでの監視システムの運用や、オークションサイトとの連携を進めている。しかし、一方でチケットの名義は試合当日まで変更できるので、対面やクローズドな環境で取引されると組織委も把握できないというわけだ。
もう一人、組織委が目を光らせるネット上でのチケット転売を実行した男性もいる。北関東在住のMさん(31歳)は話す。
「水泳飛び込みの決勝A席(3万500円)や水泳の女子水球準決勝C席(4500円)など3競技、各4人分当選したんで、興奮してインスタに『当たりすぎた』と投稿したところ、知らない人から『譲ってください』というDMが10通くらい来た。そのなかで、一番高値を提示した2人に2席ずつ売りました。8万円くらい儲かったので、自分用のチケット代がちょうど浮いた感じですね」
中国系転売ヤーも参戦。海外販売分狙う業者も
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
記事一覧へ
『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』 詐欺師や反社、悪事に手を染めた一般人まで群がっていた |
記事一覧へ
『週刊SPA!7/30号(7/23発売)』 表紙の人/ MIYU 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ