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東京五輪チケット高額転売の裏側。開会式A席は144万円も!

中国の転売業者間で“共通相場”が確立

 こうした水面下での取引はすでに多くの場所で行われている可能性があるが、さらに大胆な転売を行う者も。希少性の高い商品が販売されると必ず湧いてくる、中国系の転売ヤーたちだ。  7月18日時点で、中国最大のECサイト・タオバオには「東京オリンピックチケット」という商品が複数、出品されていた。客を装い、2つの業者にメッセージを送ったところ、まず業者Aは「開会式はB席で約56万円、男子バスケットは準決勝で約19万円」との返事が。定価は前者が24万2000円なので倍以上、後者の席のグレードは不明だがB席の場合、5万7500円となり、3倍以上の暴利となる。支払いはタオバオの決済システムか日本の銀行口座への振り込み。入金が確認できたらチケットの名義を変更するとのことだった。
チケット転売

中国のタオバオ上に出品されていたチケット

チケット転売

業者にコンタクトをとると、開会式のチケットがあるという

 その後、別の業者Bからも返信があり、チケットの価格一覧表を送信してきた。そこには競技別・席種別の販売価格が書かれてあった。最も高額だった開会式A席は約144万円で、定価の5倍近い値段である。一方で、開会式B席や、男子バスケットの準決勝のチケットは業者Aが提示したものとおおむね近い価格だった。すでに異なる業者で共通する“相場”が確立するほど、転売市場の流動性は高まっているということなのかもしれない。

現地人を動員して海外販売分を入手

 こうした状況について、組織委はどこまで把握しているのだろうか。IOCに見解を求めたが、残念ながら期日までに回答を得られなかった。  まったく別のアプローチでチケット転売をもくろむ者もいる。ベトナムの日系IT企業で働くSさん(29歳)だ。 「五輪チケットは海外販売分があり、各国の指定エージェントが窓口になって販売する予定になっています。こっちでも販売が始まったら、部下のベトナム人を動員して購入しようと思ってます。ウチはカンボジアとインドネシアにも系列会社があるので、そっちでもできれば現地人を動かして購入したいですね。手に入ったら、もちろん日本人に転売しますよ」  ネット上を調べると、豪ツアー会社のサイトには、4泊分のホテルと3つの競技のチケットがついたパックが約37万円で販売されていた。ちなみに同社はJOCが公表している公式チケット販売事業者ではなかった。海外販売分は国ごとに流通が異なるため、国によっては不正転売の温床になるのかもしれない。  6月14日に罰則付きの「チケット不正転売禁止法」が施行されたが、あくまで国内法だ。海外での転売を取り締まることはできないのだ。
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不正転売は果たして実現可能なのか
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