「そのまま電源をオフにして、2か月後に仕事の定時報告で帰国した際に解約しました。実は、赴任の少し前にプライベート用のスマホをもう1台購入し、家族や友人には新しい電話番号とアドレスを伝えていたんです。もちろん、彼女が連絡できないようにするためです」 　ここからの話は彼が共通の友人から聞いた後日談だが、自宅に行ってももぬけの殻だったことを知った彼女は中国転勤が事実だと知る。しかし、LINEメッセージを何度送っても既読すらつかず、電話もつながらないことに怒り狂っていたという。 「中国はLINEがシャットウトされていてアクセスできないんです。それを知った彼女は会社に来て『連絡先を教えて！』と騒いだらしいのですが上司に事情は説明していましたし、個人情報ですから当然教えるわけがありません。実家の電話番号や住所も教えていなかったので、一切の連絡手段を失った彼女はそれでようやく諦めたそうです。 　ただ、正直そこは半信半疑な部分もあります。だから、今でも知らない番号から着信があると彼女のような気がして電話に出ないようにしているんです」 　やりすぎのようにも感じるが、彼自身ここまでしなければ別れられないと思うほど追い詰められていたのだ。＜TEXT／トシタカマサ＞ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。