更新日:2019年09月06日 13:40
エンタメ

インドのお受験も壮絶! 名門はやっぱり親の学歴が…/藤沢数希のモテる映画工学

―[モテる映画工学]―
~映画『ヒンディー・ミディアム』~ ヒンディー・ミディアム

インドのお受験も壮絶!“ボリウッド”流の恋愛&教育エンタメ作品

 なぜ男はモテたいのかというと、セックスがしたいからである。そもそも動物のオスがなぜセックスがしたいのかというと、忘れがちではあるが、それは生物学的には自分の子供をつくるためなのだ。そして、子供ができたら、次は教育だ!  インド・デリーの下町で洋服屋の息子だったカーンは、たまたま母親に連れられて店に来ていたすごい美人のミータと出会う。ミータはファッション誌のモデルが着ている背中が大きく開いた服を作りたかったのだが、お母さんがもっと露出を控えめにして注文し、店主のカーンのお父さんも、それがいいと言い出し不満げだ。しかし、カーンはこっそりとお望みのセクシーな服を仕立てるのであった。これでミータのハートを射止めてしまう。やがて二人は結婚する。  機転の利くカーンは洋服屋を大成功させ、大金持ちになっていた。そして、二人の間にできた愛娘のピアを英国流の名門スクールに入れようと、七転八倒のお受験戦争が始まるのだった。お受験が大変なのは洋の東西を問わない。幼稚園児のような学力も何もない子供を選抜する場合、名門校は親の学歴を見てくる。カネがあっても学がないカーンと、美人だが庶民の出のミータは不利だ。そこには男のカネと女の顔だけでは乗り切れない上流階級の世界があったのだ。  カネや家柄なんかを持っている上流階級の鼻持ちならない暮らしぶりと、貧しくとも互いに助け合い健気に生きている庶民たちの生活のコントラストが鮮やかに描かれている。夫婦の絆、親子の愛、差別に向き合う庶民たち……。ボリウッド映画の中にはすべてが詰まっていた。
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある

ヒンディー・ミディアム
配給/フィルムランド、カラーバード 監督/サケート・チョードリー 出演/イルファーン・カーンほか 9月6日より全国公開
おすすめ記事