メガドライブは、なぜ北米で天下を取れた?なぜ『テトリス』を任天堂に奪われた?
『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』ダン・アッカーマン 小林啓倫・訳 白揚社
もう1冊は、セガのアーケード版『テトリス』のメガドライブ移植が差し止められ、任天堂のゲームボーイ版『テトリス』が発売されるに至った裏側を、ブルックリン在住のニュースサイト編集者が任天堂側の視点から克明に描いたノンフィクション。 1989年2月、日本で小さなゲームソフト会社を経営していたアメリカ人のヘンク・ロジャース。彼は任天堂の密命を受けてモスクワの空港に降り立ちます。その目的は、西側諸国から来た2人のライバルを出し抜いてソ連政府の秘密組織と直接交渉し、携帯ゲーム機版『テトリス』の権利を得ること。ロジャースはひとまずモスクワで情報収集を始めます……。 任天堂と、セガが間接的にライセンスを受けていた海千山千の代理人との駆け引き。鉄のカーテンの向こう側から、ソ連発の至宝『テトリス』が西側にもたらされるまでの経緯はまさにスパイ小説のようにスリリングです。 結果、1989年6月に発売されたゲームボーイ版『テトリス』は大ヒットし、『テトリス』は社会現象にもなりました。もし順当にメガドライブで『テトリス』が発売されていたら、日本でもメガドライブが天下を取っていたかもしれない……。そんな声が今でもささやかれています。 1983年にファミコンが発売されてから36年。歴史としては短いですが、それでもゲーム史に多くの分岐点があったことがうかがえる2冊。読書の秋にいかがでしょうか。ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も1
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