スポーツ

「復興の力へ!」ラグビーの聖地・釜石でW杯が開催。食品の持ち込み解禁の影響は…

震災の祈念碑、釜石校の女子高生が「語り部」

スタジアムの横にある「祈念碑」。本来ここにあった小学校出身の女子高生たちが説明をしていた

 スタジアムの一角には「あなたも逃げて」と書かれた震災の祈念碑があり、この前では当時、この場所にあった学校に通っていたという釜石校の女子高生が「語り部」となり観戦者に、「ここで何があったかを知り、防災意識の向上を」と訴える活動をしていた。

100本近くの大漁旗がスタジアムを彩る

虎舞演舞。鎌倉時代から伝わるという

鬼剣舞。1300年以上の歴史がある北上地方の踊り

 スタンドでは三陸の漁師の間では”福が来る”という大漁旗、通称「フライキ」が打ち振られ、鎌倉時代から釜石地方に伝わる「虎舞演舞」、1300年の歴史があるという北上地方に伝わる「鬼剣舞」の演舞が行われ、華やかかつ荘厳な雰囲気を演出した。

ゴール裏に集まった地元の小中学生たち

バナーで支援への感謝を述べた

 ゴール裏には2000人ほどの地元の小中学生が集まり、試合前には大震災への復興支援への感謝を伝えるオリジナルソング「#Thank You From KAMAISHI」を合唱、観客からは大きな拍手が送られた。その後、上空にブルーインパルスが現れ、開催を祝福するように五筋の煙を吐く。そして犠牲者に向け全員で黙祷。戦いの場はしばし「祈りの場」となった。

ウルグアイ国歌の全力歌唱。スタンドまで地声が響く。エスコートした少年のスペイン語での歌に、カミナラ主将は「自分の国にいるようだった」と感激していた

 両国国歌斉唱ではウルグアイが昨年の甲子園の「金足農」を彷彿とさせる「全力歌唱」。しかも、先導役を努めた、マスコットキッズが同国国歌を一緒に「全力歌唱」し、スタンドからは歓声と大きな拍手が贈られた。

フィジーの「シンビ」

 キックオフ直前、フィジーはウォークライの「シンビ」を披露。鬼気迫る表情がスクリーンに映し出されると、子どもたちから大きな歓声があがった。  試合は前評判では圧倒的不利だった南米のウルグアイが強豪国フィジーを30-27の僅差で下し今大会初の「大番狂わせ」を演じた。両チームあわせて8トライが生まれる”大接戦”。とって取られての展開。フィジーよりひとまわり小さい水色のウルグアイの選手が果敢なタックルを繰り出し、走り回る姿に、どよめきと歓声が繰り返しあがった。

試合はウルグアイが勝利。歴史的な勝利に湧く応援団

勝者が敗者を出迎える、ラグビーの素晴らしい光景

 フィジーから来た応援団の女性は「日本の人はみんな親切で優しくて大好きになったわ。もちろん津波のことも知っています。たった8年でこのような大会が開かれるなんて素晴らしい。人々の一生懸命な思いを感じ感動しています」と語っていた。  試合後の選手取材後、記者の控室に戻ると記者の座席にお菓子が置いてあった。「かまいしからありがとう」というメッセージシールが貼ってあるラグビーボール型クッキーだった。さまざまな場面で、さまざまな形で訪れた人々に感謝を述べていた地元の人たち。ラグビーの街が、ラグビーを通して、復興への力を発信し、それを感じた取材であった。 取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
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