初のシェフ役に挑む木村拓哉「見てると腹減るなって刺激を与えられるような作品にしたい」
料理を映像で表現するという「無謀」に挑む
――本作では尾花も安定した人生を歩んできた倫子さんも、無謀さに戸惑いつつ再起に挑んでいく。その一歩踏み出す勇気のようなものは、どこから湧いてくるのでしょう。
木村:尾花の場合は努力して、努力して、努力して培った料理に対する思いがある。一方、同じようにものすごく努力してきたのに、誰にも認められなかった倫子や京野にもそれぞれの思いがある。第三者から見れば「そんな賭けに出る?」と思えちゃうかもしれないけど、似通った思いを抱いている人たちが集まれば、行動に移せる勇気やエネルギーは自然と生まれるんじゃないかと思います。
実際、僕らもドラマとして無謀なことをやろうとしているのかもなって(笑)。料理って、本来は匂いと熱と味覚の世界。どれもテレビでは伝わらないものですから。伝えられるのは色彩と少しのサウンドだけなので、そこだけで見てくださる人たちに「見てると腹減るな」って刺激を与えられるような作品にできたらいいねって話をしています。日曜の21時だし、もう夕食なんてとうに済んでいる時間帯だと思いますが、このドラマは“別腹”で楽しんでもらえたら嬉しいです。
――監督の塚原あゆ子さんとは初タッグ。ここまでの撮影ではどんな印象を持っていますか。
木村:女性の監督との共同作業は自分の中で特別感があるんですが、塚原監督はとにかく熱量が圧倒的。読書感想文みたいに「シーン感想」を伝えてくださるんです。異性ならではの気づきや、「あっ、そう受け取ってくれるんだ」っていう意外性に驚いてばかりです。
あと、ものすごくストレート。指摘が回りくどくないんですよ。「今、悔しいっていう感情が非常に強く見えたので、そっちじゃない感じで!」とか言われる。男性の監督のほうが気を使って遠回しに「今の表現とはまた違った形の、う~ん……」って感じの方もいらっしゃるんですけど(笑)。すっごい速さで交差点渡ってくるからなんだろうと思ったら、言いたいことだけ言って、信号が変わらないうちにまた戻る、みたいな。そういう監督です。
※10/1発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【木村拓哉】
’72年、東京都出身。’88年にジャニーズ事務所に入所。ドラマや映画で主演を務めること多数。近年はドラマ『BG~身辺警護人~』(’18年、テレビ朝日系)、映画『マスカレード・ホテル』(’19年公開)など話題作に主演。’20年にはドラマ『教場』(フジテレビ系)が2夜連続で放送
取材・文/高野麻衣
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