アイナ・ジ・エンド
後輩に背中は見せ続けていきたい
――みなさん肝が据わっているというか、仕事に対しての踏ん張り方がすごいですね。映画のなかで代表の渡辺淳之介さんが合宿の食事時間中に参加者に向かって「先輩たちが稼いだカネでメシが食えているんだ」っていうシーンがあります。実際、BiSHは“稼ぐ側”だと思うんですけど、後輩グループに対して責任感やプレッシャーの意識はありますか?
チッチ:舐めたようなやり方は絶対にできないなって思っています。後輩のコたちがBiSHを追いかけてくれているっていうのは伝わってくるので、背中は見せ続けていきたい。
――ここまで大変な部分だけをクローズアップしてしまいましだが、逆に自分たちを褒めてあげたい部分は何かありますか?
アイナ:まだ誰も脱走していないことかな?
チッチ:うん
――脱走というと?
アイナ:たとえば「今日学校行きたくないな」とか「体調悪いから休みたいな」って思うことって誰にでもあると思うんです。でもBiSHは誰も不登校になってないみたいな。社会人として当たり前だって言われたらそうなんですけど、こんなに生きづらい中で頑張って自分で生きているっていうのはすごいと思います。
――踏みとどまれている理由はなんだと思いますか?
チッチ:最初に渡辺さんから叩き込まれたのが大きいです(笑)。練習ひとつも絶対に休むなって。全員でやらなきゃ意味がないって。
――体調が悪くても?
チッチ:はい。熱があっても足が動くなら、まずは行くのが絶対。結果的にはそう指導されてよかったんですけど、私なんて学校はサボりまくっていたのによく続いてるなって思います(笑)。
アイナ:あとは、本当にみんな忙しさに負けないでタフに生きてるなって思いますね。お客さんに対して、いまの全力で、等身大で向き合うスタンスはこれからも変わりたくないなって思っています。
――その姿勢がつながっているのか、バラエティ番組や雑誌で特集されるなど、音楽業界以外からも注目が高まっていますよね。
チッチ:他の業界の方に、BiSHおもしろいって思ってもらえるのはすごくうれしいです。歌わせてもらっている楽曲がいいっていうのもありますけど、かわいいとかじゃないけどなんか気になる、みたいな存在になれているのなら。もしいろんなカルチャーにBiSHが少しずつ溶け込めていってるとしたら、がむしゃらにやってきた甲斐があったなって思います。
――ちなみに音楽以外でやってみたいことって何かありますか?
チッチ:BiSHをやる前、元々はテレビや映画を作る方をやってみたいと思ってたのもあって、今はお芝居をやってみたいなって思っています。
アユニD:音楽以外……。
――やはり音楽が一番やりたいことですか?
アユニD:去年からソロ活動でバンドを始めたんですけど、それをきっかけに音楽が本当に好きになりはじめて。“音楽=酸素”みたいなことを言う人っているじゃないですか? 今までは、マジ意味わかんねえって思ってたんですけど、それがすごいわかるようになって(笑)。音楽で一生食べていける人を本当に尊敬しますし、なりたい……とまでは言えないけど、なれたらすごく素敵な人生だなって思います。
モモコ:うーーん、私はなんだろう……。作詞とかは好きなんですけど、ちょっとまだ考え中です。
リンリン:近い将来でいうと、モデルをやれたらいいなって思っています。
リンリン
ハシヤスメ:私は1人でテレビに出られるようになりたいです。どのジャンルでも、出続けられる人に。
アイナ:私は犬のしつけやケアをする、ドッグトレーナーになりたいです。
メンバー一同:ドッグトレーナー(笑)
――最後にBiSHとしての今後の目標を教えてください。
チッチ:ずっと掲げているのは東京ドームです。でも最近海外からのお客さんも増えて来ているので、海外公演もやってみたいなって思っています。そしたら、また一歩どこかへ踏み出せる気がするので。
【BiSH】
アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人で構成される“楽器を持たないパンクバンド”。11月6日にニューシングル「KiND PEOPLE / リズム」を発売。
出演するドキュメンタリー映画『IDOL-あゝ無情-』は11月1日より全国で順次公開
撮影/山田耕司