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“アマゾン効果”が招く不況。AIが価格と賃金を押し下げる

AIデフレ

資本家と労働者の対立構造が生まれる

「産業革命以降、20世紀半ば頃にかけて資本家と労働者の格差は徐々に縮まってきた。これは、労働運動など政治的な力も背景にあるのですが、一方で機械などの資本と比較して、労働者が持つ知能や能力など属人的な資本がビジネスにおいて重要になったからだと指摘されています。しかし、AI時代に果たしてどう転ぶのか」  稲葉氏によれば、資本家は労働者の知識や能力を「特許」など「知識財産権」に置き換えることで取り分を低く押えようとしたが、限界があったという。理由はそれらの能力を労働者から引きはがすことが難しかったからだ。‘70年代頃からは資本家と労働者の格差より、能力を持った労働者とそうでない労働者の格差の広がりが問題とされてきたが、20世紀末ごろから状況は変化し、現在、再び資本家と労働者の格差が国際的に問題になり始めており、その議論の渦中にAIの存在がある。 「AIは将来的に人間の創造的な仕事も代替するといわれていますが、それらソフトウェアの所有権は資本家に属することになる。そうなると、労働分配率をさらに低下させ格差を広げる方向に作用する可能性はあります」  加谷氏は最後にこう述べる。 「AI化社会は長期的に見れば、日本経済にもメリットが大きいでしょう。しかし、短期的にまずコストカットのために使われていくので、賃金カットやリストラなど人間の働き手にとって混乱の種になりえるかもしれません」  言うなれば1920年以前の状態に逆戻りするというわけだ。AI化社会の到来で物価や賃金の低下は本当に起きるのか。不透明な先行きのなか、個々人がAIとの付き合い方や対抗策について真剣に考える必要がありそうだ。 AIデフレ

融資先がない? AI化で焦る銀行

 AI化社会では、起業のハードルも下がるかもしれない。 「例えばAirbnb。従来の宿泊施設は設備投資をしないと商売ができなかった。しかし、今では普通の家がホテルに化けてしまう。そういう仕組みが広がると社会全体的に資金調達のニーズが減る」  お金の借り手がいなくなると困る人たちがいる。お金の流通を独占していた銀行だ。昨今、低金利が続く日本経済の背景にも、IT化やAI化の影響があると加谷氏は指摘する。 「もちろん日銀の量的緩和が最大の理由ですが、テクノロジーによる需給のマッチングが低金利を誘発する遠因になっているとの見方もできる。ちなみにグレタ・トゥンベリさんのスピーチで話題が再燃した地球環境問題に最も熱心なのが、銀行など国際金融資本だという話もある。理由は、もうそこにしか莫大な資金調達ニーズがないから。AI化は、お金の流れを大きく変えています」  銀行もAIデフレの餌食に!? 取材・文/河 鐘基 写真/AFP=時事 Shutterstock ※週刊SPA!11月12日発売号より
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週刊SPA!11/19号(11/12発売)

表紙の人/ 新木優子

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