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違法薬物で逮捕…女性留置所での生活とは?「全裸で屈伸させられる」

「最初の3日間は何も食べられなかった」

 さて、“臭い飯”とはよく言うが、実際の食事事情はどうだったのだろうか。 「とにかくご飯はマズかったです。ずっと豪華で新鮮なものを食べてきたので余計。でも逆に、食に対するありがたみも感じました。生ものはなく、練り物か揚げ物の冷凍食品、昼は決まっていてコッペパンがふたつ……。最初の3日間は何も食べれなかったけど、だんだん慣れていくんですよね。容器は、原宿はプラスチックでしたが、湾岸は弁当箱でした。業者が違うらしいです」  とはいえ、昼食にエビチリ丼や焼き鳥丼など、“自弁”(※自腹を払って購入する弁当)を前日に頼むこともできたという。意外にも留置所内ではお金を使うことも可能なようだ。とはいえ、金銭や物の授受は禁止されている。お金がない人は……。 「女性ならではの物で言えば、生理のときはおりものシートやナプキンを買います。だいたい200円ぐらいですが、お金がなくてそれさえも払えない人もいました。もともとホームレスの人などは、ゴミ箱から使用済みのものを……」  面会に来た人から3万円までは“差し入れ”してもらえるそうだ。多くの人が面会に来てくれたというが、KONOMIさんは雑誌や本の差し入れを渇望した。 「差し入れで欲しかったものは雑誌や本が多かったです。たとえば、『小悪魔ageha』や海外のゴシップ系から、GAFA(※Google、Apple、Facebook、Amazonの4社)などの難しい系まで。とにかく本をたくさん読みました。ここにいるだけでは意味がないと思っていたので。  留置所でもシャバでも同じ24時間が過ぎていく。圧倒的に不利な環境だけど、差をつけたくなかった。いつも以上に時間を大切にして、限られた時間で出来ることは何でもやりました。今後のビジネスで参考になるものはないか。数えてみたら、3か月で本を52冊読んだようです。  とはいえ、読書の時間ではペンが使えないので、内容を書き写すことはできません。いったん頭のなかで覚えておいて、手紙の時間で“被疑者ノート”に書いていました」
被疑者ノート

留置所で書いていた被疑者ノート

 被疑者ノートは弁護士とやりとりするためのものだが、彼女は現在の考え方や今後の具体的なビジネスプランなどを練っていたという。 「差し入れしてもらった雑誌や本があまりにたくさんあったので、出るときに持って帰るのが大変でした(笑)」

「人生は自転車のようなもので、こぎ続けなければいけない」

 かつて“17歳の黒ギャル社長”としてテレビや雑誌など、多くのメディアで注目されながら、紆余曲折を経て薬物ですべてを失ってしまったKONOMIさん。 「人生は自転車のようなもので、こぎ続けなければいけない。もっと早く進むためには、もっと早くこぎつつ、バランスを取らなければ倒れてしまうんです」  人生は逮捕されたからといって終わってしまうわけではない。その後も長く続いていくわけだ。現在は六本木でガールズバーとシャンパンバーの二店舗を経営し、日常を取り戻しつつある彼女。もちろん、二度と手を出してはならない。  だが、こういうことが一度でもあれば、薬物をやっていてもいなくても、疑いの目で見られてしまうのだ。「それはもう代償として受け入れています」と話すが、世間からの意見は依然として厳しいものがある。マイナスからの再出発。それでも、彼女は地に足をつけるよう意識しながら生きていくのだ。 ●園田 好(そのだ・このみ) Twitter:@konomi_sama Instagram:@konomi_new2019 <取材・文/藤山ムツキ、撮影/長谷英史>
ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)がある。Twitter:@gold_gogogo
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