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リストラ回避策の第一歩。会社に「いらない」と言われたら…どうする?

 大企業を中心に、45歳以上に対してリストラの嵐が吹き荒れている。’19年の上場企業の早期退職者募集数は1万人を突破し、年内にリーマン・ショック直後の数を抜くとの予想も。余剰人員をはじき出したい会社と、しがみつきたい40~50代社員たちの実態とは? サラリーマン

「リストラ回避策」の第一歩は、今までの常識を“消す”こと

 今や社内失業者を含む「リストラ予備軍」の中高年は多くの企業にいる。人事部署&管理職100人を対象に行った調査では、「リストラ予備軍に対してどんな対処をしていますか?」という質問に対し、「特に対処はせず『いない人扱い』」など“飼い殺し状態”にしているという声が多い。 Q:あなたの会社では「リストラ予備軍」に対してどのような対処をしていますか? 1位 特に対処はせず「いない人扱い」 42票 2位 部署異動などで配置転換を実施 36票 3位 担当する仕事を徐々に減らしている 20票 4位 個別面談などを行っている 14票 5位 希望退職者募集が行われた 13票 6位 本人には暗に転職を勧めている 11票 7位 研修などで意識向上を促している 9票 7位 個別に退職勧奨をしている 9票 (複数回答、対象/人事部署および管理職として勤める男女100人) =====  一方、配置転換や個別面談、希望退職者募集を実施している会社も。 「早期退職者募集の対象になったときに重要なのは、自分の方向性を決めてから辞める/辞めないの判断をすること。くれぐれも退職金の額だけで決めないほうがいい」  そう話すのは人材育成支援をするFeelWorks代表取締役の前川孝雄氏だ。たとえそれなりの退職金をもらえても「退職後の一番の問題はメンタル面」だと続ける。 「社内失業でも行く場所があるのはまだマシで、辞めて本当にやることがないと社会的な失業になる。そうならないために、50歳からでも今までの知見をアンラーニング(学びを意図的に捨てる)して、新しい知識を身につけようとしないと、どこへ行ってもダメです」
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前川孝雄氏

 人事コンサルタントの平康慶浩氏は、「畑違いのポストへの異動を希望するくらいの動きが必要」と話す。 「シビアな見方ですが、人事的には5年以上も同じポストにいたらアウト。それは“横でも縦でも”いいから、異動するための努力をしていないという見方になる。だから、5年に一度は“社内転職”をしたほうがいいんです。例えば、営業の現場系とバックオフィス系を行ったり来たりすると仕事の基礎力が厚くなります。大事なのは、会社からの命令で動くのではなく、腐る前に自分で動いて居場所をつくりにいくということです」
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平康慶浩氏

 また、現在多くの企業が取り入れているのが、再教育の場となるキャリア研修だ。とはいえなかなか前向きに活用する社員は少ない。 「実際に中高年向けのキャリア研修を行うと、最初は“見えない鎧”を着ているかのように心を閉ざした人が目立ちますね。だからまずは20年以上も働いた価値を認めたうえで『これからはスキルをそのまま使っても通用しないから、応用しましょう』と伝えます。例えばメーカーでプリンターの営業をやり続けたけど、これからはそのままだと仕事がない。でも経験値を分解すると、新規顧客開拓とかBtoCのノウハウなど、“コアの強み”が見えます。それは別の商材でも生かせるはずです」(前川氏)  企業側だって制度を人減らしのためだけに使うほどバカではない。外資との競争で優秀な人材がどんどん採りにくくなる時代に、今いる社員がもう一度戦力になったほうがよっぽどコストを抑えられる。 「最近の人事制度改革のトレンドは、『減給制度はつくらないけど、チャレンジしない人はクビにはせずとも居場所はなくなる』という内容です。前向きな人には教育支援もするし異動希望も聞き入れたりするけど、挑戦できないのならいりません、ということ。“使えないオジサン”とは、そういった会社からのメッセージや支援を無視してきた人たちです」(平康氏)  会社に残り続けるというのは、“しがみつく”とは意味が違うのだ。
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「戦力外扱い」からのミドル転職は可能なのか?
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