第六回声優アワード【受賞者コメント集】
3月3日、その年度に「最も印象に残る」声優とアニメ作品に贈られる『声優アワード』の授賞パーティが行われ、前日に発表された主演女優賞の悠木碧ら各賞の受賞者が列席した。声優アワードは、2006年に始まり今回で6回目。2010年12月1日からの1年間に公開された新作アニメとその出演者を対象に、一般投票および選考委員会による審査に基づき各賞が発表された。本記事では、『第六回声優アワード』受賞者をパーティでのコメントとともに紹介する。
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【主演女優賞】悠木碧
悠木碧が演じた役で印象深いのは、自分に自信がなく何の役にも立たない人間だと思っているが、人一倍強い芯を持った少女だ。たとえば、社会現象とも言えるほど議論を起こした『魔法少女まどか☆マギカ』鹿目まどか、そして2012年3月現在放送中の『戦姫絶唱シンフォギア』立花響などが挙げられる。
パーティ前夜、主演女優賞がWebで発表されると、自身のブログに喜びを綴ったが、その内容は混乱状態ともいえるハイテンションぶり。「ふぅ…緊張なんか…してなんかっないからなっ!!」(原文ママ)と、隠しきれない緊張や驚きが伝わってくる投稿内容であった。
パーティでは鮮やかな着物姿で登場。受賞の感想を聞かれると、過去の受賞者たちを「すごいなーと思って見ていたので、まさか同じ賞を自分が受賞するなんて」とまず素直に驚いたうえで、「なんで今回ここに立たせてもらえているのか考えた」と語り始めた。
「作品を作っていく上でも、まだまだ全然至らないことが多くて、表現力もない。最低なんじゃないかと思うこともあるけど、投票していただいた方々の愛が加わって、ここに立たせてもらえていると、思っています」
溢れる喜びと驚き、そしてファンへの感謝の気持ちを素直に言葉にし、一生懸命に伝えようとする姿に、ファンから愛される秘訣をみた。さらに「やっと実感が湧いてまいりました」と、彼女の中で『主演女優賞』という大きな賞を心から受け止めた瞬間が訪れた。
最後は再びファンへの感謝と今後の抱負を語った。
「本当にみなさんの愛で悠木碧はいま成り立っています。これからも、愛される私でいられるように精進していきます。でも、みなさんにその愛を全部返しきれなくなってしまうので、その愛は作品へ、エンターテイメントとしてお芝居を楽しんでもらえるよう、愛をかけていきたいです」
【主演男優賞】平田広明
企業ロゴを身に付け戦うヒーローで話題となった『TIGER & BUNNY』の鏑木・T・虎徹役を熱演した平田広明。パーティには欠席だったが、関係者による代読にて「この賞に恥じぬよう、アニメ・吹き替えの発展のために精進していく所存です」と今後の抱負を語った。
【助演男優賞】木村良平/宮野真守
【助演女優賞】加藤英美里
木村良平は、『東のエデン』滝沢朗役、『輪るピングドラム』高倉晶馬役など、主演としても代表作の多い声優だが、今回は助演男優賞を受賞。受賞の報告を受けた後もピンとこなかったそうだが、Twitterでファンから「うれしいです」など大きな反応があったことから、賞の重みを実感したそうだ。
【新人男優賞】江口拓也/松岡禎丞
【新人女優賞】茅野愛衣/三上枝織
多くの新人が登場する声優界において、最も輝いていた新人が男女2人ずつ発表された。プレゼンターには業界60年の大平透。大御所から新人への愛あるコメントが印象的であった。江口拓也は「ここまでこれたのも、支えてくださった皆様のおかげ」、松岡禎丞は「楽しんでいただけるような演技を目指してがんばっていきます」、茅野愛衣は「3年目は、その方々に少しでも気持ちを返せるようにがんばっていきたい」、三上枝織は「素敵な作品や役との出会い、たくさんの支えてくれてる方々や、応援してくださる方々の力があってこそ」と、感謝の気持ちや今後の抱負を語った。
【シナジー賞】『イナズマイレブン』シリーズ(竹内順子/寺崎裕香)
声優の魅力を最大限に発揮した作品に贈られるシナジー賞は、ニンテンドーDS用ゲームソフトを原作に幅広くメディアミックス展開をしている『イナズマイレブン』シリーズが受賞した。受賞パーティには2011年から放送している『イナズマイレブンGO』松風天馬役の寺崎裕香が、松風天馬と円堂守の着ぐるみと出席。作中で用いられた台詞を紹介するコーナー『今日の格言』を披露し、「努力は必ず結果につながるんだ」と受賞の喜びを伝えた。
【富山敬賞】堀内賢雄
声優という職業を最も世の中に浸透させた男性声優に贈られる富山敬賞には、『フルハウス』のジェシー役、『機動戦士ガンダムZZ』マシュマー・セロ役など、アニメだけでなく外画の吹き替えでも多くの作品で活躍している堀内賢雄が選ばれた。新人時代を振り返りつつ、「富山さんに一歩でも近づこうと努力してきました。一歩一歩、着実に演技者として前へ進めば、必ずこういった賞がいただける。僕はそういうことを後輩たちにも伝えていきたい」と賞を受け止めた。さらに「大平さんは60年。僕はまだ30年ある」と後輩の育成だけでなく、自身もまだまだこれからだと意欲をみせた。
【功労賞】麻生美代子/肝付兼太
長年に渡り外画も含め多くのジャンルに貢献した役者に贈られる功労賞。パーティには初期のスネ夫役として有名な肝付兼太が出席した。「私は酔うとすぐ自慢する癖があり、今日は2つ紹介します」と話しはじめ、坂本龍馬と誕生日が一緒、50歳のときに『ビートたけしのスポーツ大賞』で100m走を11秒2で走って優勝、というエピソードを披露。その後、「功労賞は3つ目の自慢です。これを糧に、大平さんを見習って生涯現役を願ってがんばっていきたいと思います」と更なる活躍を誓った。最後にはスネ夫の声で「肝付兼太のクセに生意気だよ」と会場の笑いをとった。
【声優アワード特別賞】絵本読み聞かせキャラバン隊/川上とも子
表彰すべき特別な活動に贈られる声優アワード特別賞は、被災地の子どもたちの笑顔を取り戻すための活動「絵本読み聞かせキャラバン隊」と、2011年6月に長い闘病生活の末亡くなった川上とも子が受賞。
絵本読み聞かせキャラバン隊からは中尾隆聖が登場し、これまでに35か所、2000人以上の子どもに読み聞かせを行ったという報告と「この賞に恥じないように、今後も活動を続けていきたいと思います」と、今後の活動を誓った。
川上とも子の授賞には母親が登壇し、「とも子に代わって御礼を申し上げます」と喜びを伝えるとともに、長い闘病生活中や死後にファンから届いたファンレターについて紹介した。
「どのレターにも『川上さんの声になぐさめられ、助けられ、心強く、励ましをうけました。私も将来は声優になって、皆さんの役に立つ仕事がしたいです』と書いてありました。声優希望者の人口が広がってきていることを喜ばしく思います」
このコメントに会場からはすすり泣きが聞こえてきた。
受賞パーティの最後には、選考委員長の井上伸一郎氏が総評を行った。主演賞の選考理由について『TIGER&BUNNY』と『魔法少女まどか☆マギカ』を挙げたうえで「2011年はアニメオリジナルの作品が人気となった。その人気を決定づけた2人の声優に主演賞を贈った」と解説。声優自身の人気や実力はもちろん、いかに作品を輝かせたかも大きな基準となっているようだ。2012年度は、どんなアニメが登場し、どんな声優が活躍するのだろうか。4月上旬からの新クールを前に、今回の受賞者を参考に面白いアニメを探してみてはいかがだろうか? <取材・文・撮影/林健太>
◆第六回声優アワード受賞者一覧
【主演女優賞】悠木碧
【主演男優賞】平田広明
【助演男優賞】木村良平/宮野真守
【助演女優賞】加藤英美里
【新人男優賞】江口拓也/松岡禎丞
【新人女優賞】茅野愛衣/三上枝織
【歌唱賞】ST☆RISH(寺島拓篤/鈴村健一/谷山紀章/宮野真守/諏訪部順一/下野 紘)
【パーソナリティ賞】井口裕香
【特別功労賞】小林 修/滝口順平/渡部 猛
【功労賞】麻生美代子/肝付兼太
【シナジー賞】『イナズマイレブン』シリーズ(竹内順子/寺崎裕香)
【富山敬賞】堀内賢雄
【高橋和枝賞】戸田恵子
【キッズファミリー賞】大谷育江
【海外ファン賞】櫻井孝宏
【最多得票賞】神谷浩史
【声優アワード特別賞】絵本読み聞かせキャラバン隊/川上とも子
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