更新日:2023年05月15日 13:28
仕事

1月6日、会社を辞めたい人が退職代行に殺到。新年に辞める胸中とは

会社員から自衛官、キャバ嬢まで。10分単位で予約がびっしり

 人手不足による長時間労働や理不尽なパワハラが横行。さらには辞表を出した途端に嫌がらせをされる「慰留ハラスメント」という新語すら生まれる昨今。劣悪な労働環境に悩む者は多いが、そんな人たちに一筋の光を照らしてくれるサービス――「退職代行」が話題となって久しい。  そしてその勢いは2020年もとどまることがないようだ。 「仕事はじめとなる1月6日の予約が殺到しており、ほぼ満杯。弁護士を増員して対応する予定です。特に『新年始業の8時~9時台に連絡してほしい』という依頼が多いですね。『新年には生まれ変わりたい!』ということでしょうか。10分単位で予約が埋まっている状況です」  そう語るのは、これまで2000件以上の退職代行案件に携わってきた弁護士の嵩原安三郎氏だ。

給料の「手渡し代行サービス」も登場

「相談に来るのはサラリーマンだけではありません。議員秘書からクリエイター、水商売の方まで、ありとあらゆる職業の人が『なんとかして辞めたい』と悩んでいる。最近特に目立つのは、公務員や自衛隊の方からの相談依頼ですね。自衛隊員には自衛隊法というものがあるので、民法の退職が適応されない。  また、普通のサラリーマンであっても会社との交渉内容は多い。非弁(弁護士資格を持っていない)の退職代行業者では対応しきれないことも多いと思います」  退職代行と聞くと、単に「辞めたい」という意思を本人に代わって会社に告げるだけ――と思われがちだ。しかし、実情は異なる。残業代や退職金の請求、さらに借入金の返済交渉や社宅の明け渡しまでが業務の範疇に渡っているという。 「キャバクラなどのナイトワークの場合は、いまだに給与が手渡しという店も多い。しかし辞めてから給与を取りに行きたきたくない、顔なんて合わせたくない……という人に向けた『手渡し代行』など、ニーズが多様化している。依頼者の事情を踏まえた対応が求められるようになりました」(嵩原氏)

「宴会芸強要が辛い」新年会を理由にする人も続出

 ここで年明けの退職代行を依頼したばかりのSEの山岸英一郎さん(30代前半、和歌山県在住)のケースを紹介しよう。 「パワハラ気質の職場についていけず、もはや限界です。1月6日の仕事はじめと同時に退職届けを出すために、依頼しました」  山岸さんは声をひそめる。 「漫然と辞めたいと思っていたのですが、決定打となったのは忘年会です。上司は若手にカラオケや余興を強要するし、断わると『協調性がない』『お前ら世代は意味がわからない』と罵倒される。女性社員はお酌を強制させられてコンパニオン状態です。  酔っ払った上司の武勇伝を延々と聞かされるのもしんどいし、『それに比べてお前は……』とディスられるコンボがつらすぎる。二次会では新入社員が激辛ラーメンの一気食いをさせられている現場も目撃しました」
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