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夫のリストラで専業主婦に起きた悲劇…“女性の貧困”が止まらない

 政府が謳う「女性が活躍する社会」は、夢か幻なのか――。  さまざまな「格差」が問題になっている中、「女性の貧困」は男性よりも深刻だ。フルタイムで働く男女を比べると、女性は男性より24.5%も賃金が低い(2018年、OECDデータベース)。   [令和版]負け組の衝撃

女性たちの貧困はより深刻化? 専業主婦でも…

また、女性のひとり暮らしで貧困状態にある割合は、勤労世代(20-64歳)で29.0%、65歳以上だと46.2%にも上る(厚生労働省、国民生活基礎調査2015年)。また、シングルマザー世帯も勤労世代で31.5%が貧困状態だ(同)。どの数字も、男性の貧困率より高い。 「女性の約半数は非正規雇用。彼女らの平均賃金約15万円の可処分所得は、(ひとり暮らしであれば)生活保護レベルとほぼ同等です」  そう語るのは、貧困問題に詳しいノンフィクション作家の中村淳彦氏。これまで貧困に陥ってしまうのは、非正規雇用やシングルマザーなどが多かったが、今後は「既婚者」でも困窮する人が増えると分析する。 「20~40代の夫婦は“共働き”が当たり前の時代ですが、年功序列制度は崩壊して給料は頭打ち。だから、月3万~5万円欲しさに夫に内緒で性産業に手を出す女性も多かった。ところが、貧困のセーフティネットになっていた性産業も、働き手が増えすぎたことで稼げず、さらに取り締まりも厳しくなり、地方では風俗街が消滅した都市もある。もう、脱いでも稼げない時代になってしまいました」  セーフティネットがなくなれば、必然的に「貧困度」はさらに高まると中村氏。さらに安泰に見える45歳以上の専業主婦も、生活苦に陥るケースが増えると予測する。 「経団連の会長が『終身雇用は難しい』と発言し、実質的な“45歳定年制”(45歳以上の早期退職者募集)を導入する大企業も増えています。行き場を失った中高年男性が大量発生すれば、それまで彼らに生活を預けていた専業主婦も引きずられるように貧困に陥ります」

リストラで夫が豹変! 困窮する元主婦

[令和版]負け組の衝撃

元専業主婦の木村晶さん(仮名・46歳)

 実際に、元専業主婦の木村晶さん(仮名・46歳)は既に当事者になってしまった。 「’19年5月、中堅メーカーに勤めていた5歳上の夫がリストラに遭いました。転職活動も200社以上落ちて難航しています。そのストレスから私に暴力を振るうように……。今は夫から逃れるため、築40年のアパートに一人で暮らしています」  子どもは1人いるが、離婚するのも「時間の問題」だという。 「熟女風俗店に面接に行きましたが、『足りている』と断られました。スーパーでアルバイトしていますが、手取り月12万円では家賃を払えばギリギリ……。電気代節約のために家でも毛布を被っています。貧困は苦しいけど、殴られるよりはマシですね」  専業主婦が貧困に陥る。新たな冬の時代が到来しているのだ。 【ノンフィクション作家・中村淳彦氏】 貧困、介護、AV女優、風俗、借金、自傷などさまざまな社会問題について取材・執筆を行う。最新刊『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)をはじめ著書多数
[令和版]負け組の衝撃

中村淳彦氏

<取材・文/週刊SPA!編集部>
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