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月1500円のカラオケ店で寝泊まりする元会社員。奨学金返済で家賃が払えず…

 日本社会はどこに向かうのか――。経済危機が迫るなか、市民の「格差」はより拡大し、中流が新たに転落、下流はさらに困窮。一方、今まで放置されてきた人たちがさまざまな事件を起こし、令和時代の新たな「負け組」を生み出している。負け組すら多様化した日本の今に迫る!
[令和版]負け組の衝撃

カラオケ店で寝泊まりしている高橋直樹さん(仮名・27歳)

カラオケ店生活を強いられる奨学金難民のリアル

 負け組として漂流するのは、中高年だけではない。都内で日雇いの製造業で働く高橋直樹さん(仮名・27歳)が転落したきっかけは、奨学金だった。 「親は共働き。毎日の生活にも苦悩している姿を見てきた僕にとって、大学に行くには奨学金を借りるしか選択肢はありませんでした」  日本学生支援機構の「学生生活調査」(’16年度)によれば、奨学金を受給している学生の割合は、大学学部(昼間部)で48.9%。今奨学金を借りるのは当たり前となっている。 「当時の仕送りは月2万円。後の苦労も知らずに『大学から近い』という理由で借りたアパートの家賃6万円を支払うだけでも一苦労。バイト漬けの毎日を送り、楽しいキャンパスライフとは無縁の生活でした」  大学卒業後、某人材派遣会社に就職した彼を待ち構えていたのは、毎月10万円の返済だった。 「手取りは15万円。奨学金と家賃を支払うだけでマイナスです。もっと安い家に引っ越したいと思っても、その代金すら捻出できない。  本業の収入だけでは到底資金繰りができないので夜勤のバイトを始めましたが、無理がたたって体を壊すハメに……。どうすることもできず、消費者金融からお金を借りて奨学金を返済するという自転車操業に陥りました」  一度悪い方向に走りだした自転車はもう止められない。家賃の支払いすらままならなくなった彼は、なすすべもなく住まいから追い出されてしまった。 [令和版]負け組の衝撃「ホームレス生活はこれで約半年です。夏場は公園で野宿もかえって新鮮でしたが、冬になり初めて東京の寒さを実感しました。  今は月額室料1500円で利用し放題の某カラオケに寝泊まりしています。24時間営業の店舗もあり、毎回ワンドリンク代だけ取られますがネットカフェに泊まるより断然安い。個室に寝袋を持ち込んでいます。でも、こんな生活をいつまで続けるのか……考えただけで死にたくなります」  カラオケ店の迷惑にならないように滞在には気を使っていると高橋さんはいう。 「月額制カラオケは一日1回しか使えないし、店員の目も気になるので、24時間まるまるカラオケに滞在することはしてません。混雑時を避け昼に寝ることもあります。食事は大体、コンビニおにぎりですね」

奨学金という不本意な借金

 彼のように20~30代が奨学金の返済を滞納して貧困に陥るという問題があり、’18年より日本学生支援機構が「給付型奨学金制度」を本格的に開始した。しかし、高橋さんの世代にはまだ何も対策は施されず、結局は奨学金という不本意な借金を背負ったままで、今後も生きていかなくてはいけない。  20代の高橋さんのように、貧困は就職氷河期を経験した30代後半~40代中盤までのロスジェネ世代だけではなく、その下の世代までものみ込もうとしている。本来、国を支えるはずの20~40代を放置し続ければ、どうなるのかは、想像に難くない。近い将来、日本全体が「負け組」になることは間違いないか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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