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<純烈物語>“5人目のメンバー”と難病に冒された男が夢見ていた紅白の舞台<第31回>

昨年6月、NHKホール公演のラストでアンドレザ・ジャイアントパンダの右隣に立つサムソン宮本

<第31回>もうひとつの純烈紅白物語。難病と闘うサムソン宮本さんの夢

 話は昨年6月『純烈のNHKホールだよ(秘)大作戦』の日にさかのぼる。そのステージに、元メンバーのアンドレザ・ジャイアントパンダが出演した。  4ヵ月前のマッスル両国国技館公演で純烈と共演し、新メンバーオーディション時間差バトルロイヤルで酒井一圭を圧殺。わずか数時間ながらグループに所属し、4人の先輩とともに『プロポーズ』を披露する。  もちろん、マッスルを主宰するスーパー・ササダンゴ・マシンことマッスル坂井が描いたストーリー上の話なのだが、どこの誰が書いたのか、ウィキペディアには林田達也、友井雄亮と並び、しっかりと元メンバーとしてアンドレザの名が掲載されている。そしてそれを削除する人が今のところ出ていないところに、純烈のファンはシャレがわかっているなと唸らされる。  体長3m、体重500kgの巨大パンダがいくところ、必ずその傍らに立つマスク姿の男がいた。サムソン宮本……アンドレザが所属する新根室プロレス代表である。  愛くるしい姿とは裏腹に、どう猛な一面を持つパンダが唯一心を許しているのがサムソン。プロレスの試合でブレーキの壊れたダンプカーと化し誰も止められなくなっても、巧みな笹の葉サバきで飼い慣らしてしまう。  そんな信頼関係で結ばれた人間とパンダは、人々に夢と笑顔を与えるべく全国を飛び回った。声がかかるたびに日本の最東端である北海道根室市から向かうのだが、その労力は気軽に「東京へ来てよ」などと言えるようなものではない。  昨年12月、見舞いで生まれて初めて根室を訪れたのだが(書籍『黒と白とハッピー~純烈物語』のあとがきが「根室にて」となっていたのはそのため)、自分で体験し申し訳ない気持ちになった。あの日……NHKホールにおけるリハーサル中、アンドレザとともにステージ袖に立っていたサムソンと交わした会話の中で、ひっかかる言葉があった。 「いや~、ついにNHKホールまで来ちゃいましたよ。この勢いでいって、僕らも純烈と年末の紅白に出られたらいいなあ。それが僕にとっての最後の夢です」  最後とはどういうことなのか? その時は、2019年のラストに見る夢という意味なのかとも思った。  6月の時点では、純烈にとっても2年連続紅白出場が夢だった。それがかなったあかつきには、自分とアンドレザもついでに出られたらいいなあという空想的な願いごとである。  それから3ヵ月後、9月14日の地元・根室における大会を前にして、サムソン……いや、宮本さんから衝撃などという言葉では到底追いつかぬLINEが送られてきた。
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5年生存率33%、10年が0%の難病に
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