更新日:2023年05月23日 16:54
エンタメ

<純烈物語>“5人目のメンバー”と難病に冒された男が夢見ていた紅白の舞台<第31回>

 酒井の誠実さが染みた宮本さんは、12月に紅白出場のお祝い動画を送った。そこでは通常、人間の言葉はもちろん鳴き声さえ発しないアンドレザが、地声でたったひとことながらメッセージを口にした。
 酒井の特別なはからいに対し、自分たちも特別なことで感謝と祝福の意を伝えた。現在、宮本さんは根室を離れ、札幌で明美夫人とともにのんびりと暮らしている。がんの方も転移していない。この2年間は本当に慌ただしかったが、アンドレザとともに全国を駆け巡った思い出に浸れる時間がようやくできた。  聞くとアンドレザも同じように家族と静かに暮らしているという。春が訪れ暖かくなったら、またプロレスのリングで活動したいと思うようになるかもしれないが、今後に関しては本パンダに任せるとのことだった。 「大変申し訳ないんですけど……実は私、紅白見ていないというか、見られなかったんです。31日にインフルエンザにかかってしまって、うんうん唸りながら年を越して元日に病院へいったらインフルだと言われました。やはりこの状態ですから、インフルでも怖い。本当は純烈さんの晴れ姿を生中継で見たかったんですが……だから、どっちみち出られなかったということですね、ハハハハ。  アンドレザは見ていたと思いますよ。彼も『紅白を黒白に変える』って意気込みながら、出られたらなあって言っていましたから。そういう話も、純烈さんとの縁があったからできるわけで。今年も3年連続出場を願っています。私もプロレスを再開できるようになるまで元気になれば、あれが最後の夢ではなく、次なる夢が生まれる。それが、これから生きていく上での力になると思っています」 (筆者注)これまで当連載では筆者の一人称を使わずに書いてきました。客観性を保つためと、あくまでも純烈が物語の主役だからです。その中で、自分自身がかかわった案件であることと、それを抜きにしない方がよりドラマとして伝わると考え、今回ばかりはご容赦いただきたくお願い申し上げます。 撮影/ヤナガワゴーッ!
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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