更新日:2023年05月23日 17:10
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医師が考える「受けるべき・受けるべきではない」検査。バリウム検査は…

体への負担が小さく手軽で優秀な検査とは

 一方、9割近くの医師が「受けるべき」と回答したのが「血液検査」だ。 「心筋梗塞を誘発する糖尿病や脳卒中のリスクを高めるコレステロール値の異常は、血液検査から判断できる。がんが気になるなら内視鏡を使って直接チェック。これが、死因上位を占める“三大疾病”の予防としては、もっとも手軽で有効です」(上医師) 血液検査 その「内視鏡」も、8割以上の医師が推奨。「胃がんと大腸がんは防げるがん」と金子医師は言う。 「胃がん、大腸がんの早期発見をかなえるのは、今のところ内視鏡検査しかありません。40歳以上なら胃カメラは3年に一度、大腸カメラは5年に一度を目安に受診しましょう」  続いて、財布に優しく、体にも優しい超音波検査を、7割以上の医師が勧める。 「まず、PETやCT、胸部X線など放射線を使った検査と違って被ばくのリスクがない上、腎臓、膵臓、肝臓などさまざまな臓器をチェックできるので、非常に万能な検査と言えます」(室井氏)  4位の「ピロリ菌」は、胃炎や胃潰瘍を引き起こし、胃がんに深くかかわる細菌だ。 「胃がんの原因のほとんどが『ピロリ菌』による慢性炎症。除菌するには抗生剤を飲むだけなので、検査して損はありません」(上医師)  高額な精密検査を受ければ健康になるというものではない。経済的で手軽な検査だけでも、十分健康は担保できるのだ。

<受けるべき検査>

※調査概要:30歳以上の現役医師200人に質問・回答を得た ●1位血液検査 178人 健康状態の把握には必須。「血液中のコレステロール、血糖値、尿酸値などがわかるので、生活習慣病を見抜くのに有効」(金子医師) ●2位胃・大腸の内視鏡検査 168人 「胃・大腸がんの早期発見には内視鏡検査を。これは医療界でも常識になりつつある。40代なら受診してもいい」(室井氏) ●3位 超音波(エコー)検査 144人 「医療行為による体へのダメージ(侵襲)が少ないのがエコー。いろいろな情報を得られるので毎年受けたほうがいい」(金子医師) ●4位 ピロリ菌検査 124人 「胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染、または感染していた高齢者。ピロリ菌の除菌は胃がんの発症予防に繫がります」(上医師) ●5位 肝炎ウイルス検査 120人 「肝硬変や肝臓がんを誘発する肝炎ウイルスは自覚なしに感染している可能性があります。一度は受けましょう」(岡田医師) 【医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏】 東京大学卒。ムダな医療を省く「チュージング・ワイズリー」の考えを日本に広める。著書に『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP)など 【医師・金子俊之氏】 とうきょうスカイツリー駅前内科院長。日本リウマチ学会専門医・指導医。著書に『医者が教える「ヤブ医者」の見分け方』(ゴマブックス)など 【医師・岡田正彦氏】 新潟大学名誉教授。医療法人専務理事かつ介護老人保健施設長。専門は、予防医療学、長寿科学。著書に『医者に聞けない検査値のホント』(大和書房)など 【医師・上 昌広氏】 特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長。専門は血液・腫瘍内科学など。著書に『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社) 取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/パイルアップ ※週刊SPA!2月18日発売号の特集「健康診断の真実」より
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週刊SPA!2/25号(2/18発売)

表紙の人/ 小室さやか

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