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老後2000万円不足問題は本当?リアルに必要な老後資金を算出

現実に即した不足金額を把握し、戦略を立てれば恐れるに足らず。まずは知り、そして備えよ!

明るい老後

深野康彦氏

 老後に気になる医療費は「かかる医療費」と「かける医療費」の区別を認識しておくことが大事だ。 「“かかる医療費”とは、公的健康保険が適用される範囲内の治療費(保険診療)のこと。普段、私たちが日常的な病気で病院にかかった場合、通常3割の負担をする際の金額のことです。これに対して“かける医療費”とは、自分自身が望む治療を行うときなどに発生する保険診療外の負担です。入院した場合の個室代や、遠くの名医に診てもらうための交通費などがこれに当たります。  こうした公的保険が適用されない支払いが増えるほど、医療費の負担は大きくなります。大病を患うと、青天井のように医療費負担が増えると思いがちですが、この“かける医療費”が実は医療費負担の多寡を左右します」  給料が上がらないとすれば、このような生活費削減が大きなカギとなる。 「これらを試みれば、必要額は1650万円から2割減らした1300万円に抑えることも可能です。単純に50歳から15年で貯める場合、年間で約86万円貯めればよいという計算になります。ただし、一気に減らすのは厳しいので、5年間であれば毎年4%ずつ、10年間であれば毎年2%ずつなど、時間をかけて少しずつ支出を減らしていくことが大事です。  すべての支出項目を一律で削減するのは難しいので、メリハリをつけて削減しましょう。例えば、こだわりがある部分は5%減にとどめ、その他の部分は15%減にするなど、分野ごとに減額比率を変えるんです」  そして、老後サバイバルにおいて一番の切り札となるのは、人的資本だ。 「男性の場合、健康寿命が72歳、平均寿命が82歳と10歳も差があります。健康寿命をいかに延ばして自分の寿命とイコールにするかが肝心です。健康な限り人的資本が使える。つまり労働力で収入が生み出せます。  そのためには老後も居酒屋でもコンビニでもいいので週3くらいは働く覚悟を持つこと。時間つぶしや生活リズムのために働く高齢者はたくさんいますが、人的資本を錆びさせないことが、明るい老後のための最大のリスクヘッジなのです」 ▼老後資金不足のリアル ①65歳までに貯めておきたい金額の目安は1300万円 ②生活のダウンサイジングで支出を減らすべし ③最後の切り札は健康。体も頭も衰えさせるな 【深野康彦氏】 ファイナンシャルプランナー。1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。その後、独立して現在のファイナンシャルリサーチを起業。FP業界31年目のベテラン <取材・文/週刊SPA!編集部 図版/ミューズグラフィック>
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