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<純烈物語>「斬新すぎる……」デビュー前の純烈にレコード会社マネジャーが抱いた困惑<第33回>

純烈を支える2人のマネジャー。山本浩光(左/身長194cm)と新宮崇志(右/165cm)

<第33回>「一蓮托生」のアーティスト担当、クラウン・新宮崇志、純烈と出逢う

 これまで、メンバーだけでなくスタッフや関係者も含めた連帯感を強く感じたことから“純烈丸”という言い回しを使ってきた。そこから生じる熱なくして、2年連続紅白歌合戦出場はなし遂げられなかっただろう。 「いい時は黙っていても人が寄ってくる。ネガティブなことがあっても、それでも去らずに助けてくれる仲間がどれほどいるか。その人が誇れる価値とは、そこにあるのだと思う」  そんな世界があることを伝えたいという思いが「白と黒とハッピー~純烈物語」を生み出した。メンバーの前から去るどころか、より至近距離で運命をともにする覚悟を強く持った者たちは、どんな思いで航海をともにしてきたのかを、今週から描いていく――。 「ああやってステージ上で歌わされたのは初めてだったんです。あの人(酒井一圭)とかかわっている限り何があってもおかしくないので、なんであっても楽しむしかないんで。普通なら素人の歌なんか聴きたくねえよってなるのが、受け入れていただける皆さんが集まった場だったんだと思います。デッカい中に『一人だけ捕まった宇宙人みたいなのがいるよ』でもいいんで、楽しんでもらえたらそれでよかったですね」  日本クラウン株式会社(以下、クラウンレコード)CW制作宣伝本部CWプロモーション部プロモーターの肩書を持ち、純烈のアーティスト担当として携わる新宮崇志(しんぐうたかし)の2020年は、紅白出場後の凱旋ライブにてステージ上へ引っ張り出されるスタートとなった。165cmの身長は、一般的な尺度だと普通である。  だが、平均身長185cm以上のメンバーにはさまれると本人の言う通り、哀し気な表情で地球人を見上げる個体名不明ながら世界的有名なあの宇宙人の姿が重なる。しかも、同じように抜き打ちで呼び込まれたマネジャーの山本浩光は2m弱あり、なんの遠慮もなくその空間における平均身長を勝手にあげてしまっていた。  よくよく考えれば、年のはじめに紅白出場歌手とステージ上で共演する素人など普通はあり得ぬわけだが、言われるまで本人は気づいていなかった。「あ、そうか。その視点は言われて気づきました。うわー、ホントだ。ウハハハハッ!」と今さらながら喜んでいた。  ライブ後の購入者特典撮影会では、純子&烈男のカメラを受け取り、シャッターを押し続ける。言うまでもなく、元日も朝5時までメンバーとともにそれを続けた。  前年は紅白初出場のあと3ヵ所の健康センターを回り、最後のライブが終わったのは朝8時。取材用のカメラが入っていたのは1本目のみで、特典会もなかったからそこで帰れたにもかかわらず3本目まで時間をともにした。すべてが終わると疲れと眠気で運転できず、駐車場に置いた車の中で寝てしまったという。 「喜びを共有したいのであればシンドさも共有すべきだと思うし、共有したいと思いますよね。何もできなくとも、それによっていろんな部分で変わってくると思うので。一緒にいる時間をできるだけ長くすることによってのスタッフ、メンバーとの信頼関係って出てくると思うんです。  ビジネスとしてそこまでなれているかというと、リスクを背負っている事務所やメンバーとレコード会社では差があると思うんですけど……一個人としては“一蓮托生”のつもりでいます。それぐらいの意識でやっていかないと置いていかれる、振り落とされると思ったから――」  新宮が純烈のアーティスト担当となったのは2015年頃。ユニバーサルミュージックとの契約を打ち切られ移籍してきたアーティストと、NHK担当という関係から始まった。  もっとも、さかのぼると薄い接点はあった。
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デビュー前の純烈を見せられ「無理です」と即答
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