フィットネスクラブの年中無休を可能にする方法。店舗無人化をIC内蔵カードが実現
あらゆる分野で「省力化」の波が押し寄せている。何しろ、この人手不足の昨今だ。どの業界も喉から手が出るほどスタッフを欲している。が、人口には限りがあるから大なり小なりの省力化は避けられない。
フィットネスクラブは、ある意味でそんな時世の象徴のようになっている。「24時間営業」を掲げつつもスタッフ不在の時間を設けるという、一見矛盾した仕組みを取り入れる店舗が登場しているのだ。それを可能にするのは、Suicaやtaspoと同様のICカード技術である。
この記事で「IC」と表記するものは、厳密には「RFID」やその規格のひとつである「NFC」と呼ぶのがより正確かもしれない。しかしここでは、一般に馴染みのある「IC」で通すことにしたい。
複合カフェapresioが運営するミラフィットネスは、静岡県を中心に店舗数を拡大させているフィットネスクラブである。ミラフィットネスが注目されている最大の要因は、月会費の安さである。24時間365日利用可能のフルタイム会員の場合、月会費は5800円(税抜)。祝日や年末年始も無休である。
「その代わり、我々スタッフのいる時間は限られています。午前11時から午後2時半、そして午後4時から午後8時までがスタッフアワーです。毎週金曜日は全日スタッフ不在にしています」
実は筆者もミラフィットネスに通っているのだが、現場のスタッフに聞けばこう答える。店舗の電話対応の時刻も、上に合わせている。では、スタッフのいない時の会員受付はどうするのか?
そこで登場するのが、IC内蔵カードキーである。
店舗の出入り口の施錠は、ICカード技術による非接触型オートロックを採用している。まさにSuicaの要領でパッドにカードをかざせば、「カチャッ」と音を立てて錠が開くという仕組みだ。
「1枚のカードで2人以上が入ろうとすると、アラームがなってしまいます。ですから、新規会員登録をご希望のお客様にはスタッフアワーに来ていただくようお願いしています」
さて、筆者はここに至るまでミラフィットネスの従業員を「トレーナー」ではなく「スタッフ」と表記している。ミラフィットネスには、専門的なトレーニングを指導するトレーナーはいない。故にウェイトトレーニングを全くしたことがないという人にとっては、やや敷居が高いのではと筆者は感じた。もちろん、ルームランナーやエアロバイクだけを使うという人はその限りではないが。
なお、ミラフィットネスは今年4月までに静岡・愛知・山梨・神奈川・東京に21店舗を持つ予定だが、会員はこの21店舗を等しく利用することができる。スタッフと対面して「普段は○○店を利用してるんですが……」と断りを入れる必要もない。ICカードキーだからこその合理性と言える。
IC内蔵カードで入場のフィットネスクラブ
ICカードキーだからこその合理性
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