更新日:2020年03月28日 14:04
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自衛隊員の当直仕事はタダ働き。働き方改革から除外? 

自衛隊における「当直明け」がない職場

 陸上自衛隊ではかなり改善され、当直後は帰って眠れる職域も多くなってきました。
自衛隊

陸上自衛隊Facebookより

 しかし、「当直明け」でも通常勤務が続く職域があります。海上自衛隊の艦艇勤務の当直は次の日も通常勤務ですし、航空自衛隊でもレーダーや防空サイトの当直はキツいようです。当直でもうまくやると4時間くらい眠る時間が取れる場合があります。「少しは眠れるんだから休む必要はないでしょ?」という発想です。当直が明けず、そのまま仕事となると地獄です。睡眠不足でふらふらになりながら働かなくてはなりません。  自衛隊員は体が資本の仕事です。自衛隊員の健康を損なうような勤務体系は改めるべきです。働き方改革という言葉は「自衛隊員以外の労働者」に向けたものですか? 「自衛隊員」だけ除外されるのはおかしなことです。自衛隊員も日本国国民なのですから、せめて平時は健康を損なわない勤務に改善してもらえないものでしょうか? 「徹夜明けは休み」「当直には当直明けがある」って普通のことでしょ? こんな当たり前のことですら、問題視されていないことが不思議です。「あーあー、聞こえない」なんて言っちゃダメです。  自衛隊の当直も、場所によっては軽微な巡回などですむこともあります。しかし、一晩中、機器類を見つめてチェックし続ける仕事もあります。重要度の高い職場では担当する自衛隊員も決まっています。その駐屯地、基地、部隊の規模や重要度、特殊性によって、当直業務はさまざまです。十分睡眠が取れるものもあればそうでないものもあります。  一部にしっかり睡眠も取れる職域があるからといって、ほとんど徹夜の当直も一緒くたにして休みなしにしてしまうから、どんどん重要なセクションの人材が辞めてしまうのですよ。陸上自衛隊の当直明けは休ませるという試みを広げてほしいものです。

過酷な潜水艦乗組員の当直は乗組員以外にさせては?

 とりわけ、人数が少なく潜水艦では頻繁に当直が回ってきます。潜水艦乗組員の場合は数時間おきに巡回があり、さまざまな仕事をしなければなりません。人員数が少ないため、ほとんど眠ることはできません。  潜水艦乗組員のタマゴである実習員には上陸中には、3日に1度当直があります。正規の潜水艦乗組員は5日に1度です。労働基準法では当直は7日に1度とありますが、労働基準法の適応外の仕事では「完全に法律を無視」できるわけです。3日に一度30時間を超える仕事をするわけです。  そこまで睡眠不足に耐え続けることが潜水艦乗組員となる関門なのです。まさに命がけです。上陸中の過酷な当直業務がなくなれば、潜水艦乗組員の離職数も減るのではと思います。  それが不可能であれば、せめて当直業務にはしっかりと手当を出し、当直明けを休みにするだけでも違います。健康を損なわない働き方と報酬を自衛隊にこそ実行してみてはどうでしょうか? そういう待遇改善が離職者数を減らし、応募者を増やすと思いますよ。  人数が確保できれば1人当たりの負担も減り、仕事の質も担保できます。自衛隊員の待遇改善は、私たちの安全保障に繋がっているのです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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