東京が封鎖されたらラッキー? それぞれの思惑…
小池百合子・東京都知事が会見で外出自粛を要請したことで、「首都封鎖」のリスクも現実味を帯びてきているという。仕事や収入の補償がどうなるのかよくわからないため通例的に“リスク”とされているようだが、感染拡大が続く状況では封鎖することがリスクなのか、封鎖しないことがリスクなのかは、正直微妙な問題の気もする。
そんななか、実際に「早く東京封鎖してくれ」と密かに願う人たちは一定数いる。今回は感染拡大への予防・対策とは直接関係ない主張も含め、首都封鎖を望む市井の人々の声を紹介していこう。
「電車の混雑は緩和されたと言いますけど、通勤する会社員で混雑しているタイミングもたくさんあります。出社しなくてもいい人と出社せざるを得ない人で不公平感も募っているので、いっそ封鎖してくれた方が嬉しいです」と吐露したのは、都心の大手企業に正社員として勤めるAさん(男性・30歳)。営業職で国内感染が発覚してから約2ヶ月の間、普段と変わらず東西線に揺られて通勤している。
「コロナを機に私の会社でもついにリモートワークが導入されましたが、当然そういう働き方ができる人は同じ社内でも限られています。多様な働き方はいいですけど、緊急事態ということで公平性を担保する体制ができていないので、休業してほしいというのが本音です」
コロナによる連鎖倒産が始まれば、中小企業に下支えされてきた大手企業に波及する事態は免れられず、Aさんもそうした不安とは無縁ではないが、「個人的な意見ですけど、ジワジワと感染拡大が広がり続けるだけなら、みんなで2週間休んで耐えた後、金や仕事をなるべく回していくほうが合理的なんじゃないですかね」と持論を述べた。
派遣社員として繁華街から程近いコンビニで働くBさん(40代・男性)も東京封鎖を望んでいる。生活必需品を取り扱うコンビニなら首都封鎖が実施されても、営業を続ける可能性は高いが、「人手不足の業界なので今のところシフトや時給も変わらないし、いまの段階で単純にお客さんが減っていて暇なのでラクです。深夜の酔っぱらいのお客さんとかもかなり減りました。さらに東京封鎖となれば、いつもの近所の住人みたいなお客さんしか来なくなるでしょうから。さらにサボれそうですね」というのがその理由だ。
一方、コロナ禍にあってティッシュなどを片手に並ぶ様子や、カスハラ(カスタマーハラスメント)に遭遇するニュースが報じられてきたドラッグストアの店員たちはどうだろうか。
「場所柄、近くの住人以外に千葉や埼玉から来るお客さんも多いので、首都封鎖で最近の忙しさもちょっとはマシにならないかなという期待はあります。優しいお客さんの方が圧倒的に多い気もしますけど、確かに中には困った客もいますし。今回の外出自粛要請みたいな感じだと周りの個人経営の飲食店とかも普通に営業するみたいので、やや暇になるか、普段とほぼ変わらないくらいかと思います」とは、足立区の大手ドラッグストアで働くCさん(女性・29歳)の声。
もしも東京が封鎖されたら「ラッキー」と思う人々も
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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