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くまモン全開「肥薩おれんじ鉄道」の知られざる魅力を味わってきた

乗客わずか4人で出水を発車

通常塗装の車両で川内へ向かう

通常塗装の車両で川内へ向かう

 出水に約1時間滞在中、九州新幹線は〈さくら549号〉鹿児島中央行き、〈さくら404号〉博多行きが到着するも、13時50分発の川内行きワンマン列車に乗り換える人は皆無。乗客はわずか4人で発車。ディーゼルエンジンの走行音がむなしく響きつつ、力強く走る。 14.川内行きワンマン列車編成表2 西出水で中学生6人乗車し、乗客は計10人。しかし、次の高尾野で3人下車し、乗客1ケタに戻ってしまう。これだけ乗客が少ないのは気の毒でならない。JRグループは救済策として、青春18きっぷを13,000~15,000 円程度に値上げし、「新幹線の開業で第3セクター鉄道に転換された、すべての並行在来線も利用可」という、特典をつけてほしい。  折口で『くまモンラッピング列車3号』の新八代行きワンマン列車と行き違い。ホームにはオレンジの実があり、まだ熟していない(注、2020年1月取材)。それを見ていると、南国ムードが漂う光景に移る。

雨ざらしにされた寝台車

 発車すると左へ曲がり、東シナ海沿いを走る。
寝台特急〈なは〉で使われた客車の哀れな姿。

寝台特急〈なは〉で使われた客車の哀れな姿

 阿久根は有人駅で、オレンジジャンパーの職員がきっぷを回収する。駅前には寝台特急〈なは〉で使われていた客車が雨ざらしにされ、色あせた姿に心が痛む。2008年3月の廃止後、NPO法人が宿泊施設として買い取り、2009年に新たなスタートを切るも、2014年に営業停止された。  その情報を入手した香川県善通寺市のうどん屋が“獲得”に向けてクラウドファンディングに動くものの、現在も夢は実現していない模様。運搬費が莫大なほか、車体の再塗装など“運行再開”に向けた課題も多い。
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絶景の駅に満足
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