更新日:2020年04月07日 12:30
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緊急事態宣言で計画運休ってしないの? 全国の鉄道20社の回答

 世界中を襲う新型コロナウイルス。日本では4月6日現在、岩手県、鳥取県、島根県を除く各都道府県に感染者が発生している。 「週末の不要不急の外出自粛」を要請する都道府県もある一方、公共交通機関の多くは通常通りの運行が行なわれている。安倍晋三首相は早ければ7日にも、特措法に基づく「緊急事態宣言」を出す意向を固めているそうだが、もっと踏み込んだ自粛要請を行なうには、計画運休が必要ではないだろうか。多くの鉄道事業者の御協力を得て、その可能性についてきいてみた。

旅客運輸のみ計画運休の実施を

 計画運休はおもに台風接近が確定的なときに実施される。事前に発表することで、混乱を最小限に留め、営業中(列車、駅など)の事故を防ぐ役割を持つ。2019年は8・9・10月に実施された。  新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた「不要不急の外出自粛要請」による計画運休は現時点ないが、JRグループは利用客の大幅な減少により、一部の定期列車と臨時列車の運休、列車の両数見直しなどを余儀なくされている。
貨物輸送、回送や試運転については、旅客輸送にあたらないので、「不要不急の外出自粛要請による計画運休」の対象外である。

貨物輸送、回送や試運転については、旅客輸送にあたらないので、「不要不急の外出自粛要請による計画運休」の対象外である。

 私は「自粛要請に基づいた旅客列車、バス、旅客機、フェリーの計画運休を検討、実施したほうがよいのでは?」と考えている。  日本では2020年3月下旬から東京都を中心に感染者が急増し、有名人、著名人も襲われた。特に若者は「週末の不要不急の外出自粛要請」に従わず、もしくは知らずに街へ繰り出したことで感染者が増加したようである。  飲食店、商業施設などは臨時休業、営業時間の短縮が実施されている中、公共交通機関の多くは平常通りの運行を実施している。テレワークや臨時休校など、月間の利用客数が減少した事実がある以上、自粛要請に応える形での終日運休、運転本数の削減、最終の列車やバスの大幅な繰り上げなど、検討すべき段階に迫っているのではないだろうか。
参考までに、東京メトロ1か月の電気代は約10億円(月によって変動あり)。うち約6億円は列車の運転に消費されている。

参考までに、東京メトロ1か月の電気代は約10億円(月によって変動あり)。うち約6億円は列車の運転に消費されている。

 また、日中は駅や車内の照明、列車のヘッドライトの地上区間点灯などを極力控える、エスカレーターやエレベーターの運転休止など、節電をすることで、減収減益した分をカバーする策も検討すべきだ。

各鉄道事業者の対応

 不要不急の外出自粛要請が今後も発生した場合、公共交通機関は計画運休を実施するのか。JRの各旅客鉄道事業者、大手私鉄(一部バスも含む)、中小私鉄の計20事業者から回答が届いたので、御紹介しよう(2020年4月3日〔金曜日〕締め切りとしたもの)。

【JRグループ】

〇JR北海道
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、2020年5月2日(土曜日)以降、札沼線石狩当別―新十津川間の気動車列車を全車指定席として運転され、非電化区間の歴史に幕を閉じる予定。

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、2020年5月2日(土曜日)以降、札沼線石狩当別―新十津川間の気動車列車を全車指定席として運転され、非電化区間の歴史に幕を閉じる予定。

 計画運休の予定はありません。すでに特急列車の減便や減車をしています(JR北海道HPを参照)。自粛要請で直接的に判断するのではなく、そこから算出した乗車率予測に基づくものです。  朝夕は減らさず、その他の乗車率の低い時間帯で減らす方針です。 ※特急〈すずらん11・8号〉は、2020年4月6日(月曜日)から運転再開。 〇JR東日本  計画運休の予定は、現時点ではありません。  現時点で在来線の定期列車に間引き運転の予定はありませんが、すでに運休を決めた列車があります。 〇JR東海
日本の大動脈を担う東海道新幹線も、新型コロナウイルスの影響を受けた

日本の大動脈を担う東海道新幹線も、新型コロナウイルスの影響を受けた

 新型インフルエンザ等対策特別措置法による緊急事態宣言がされた場合、それに基づき、指定公共交通機関は事業を継続することとされており、指定公共機関である当社も列車運行を可能な限り継続します。  また、2020年3月24日(火曜日)に発表した通り、昨今の新型コロナウイルス感染症の発生に伴うお客様のご利用状況を踏まえ、4月に運転する一部の列車を運休、またゴールデンウイーク期間中に運転する列車の運転計画を見直します(くわしくは、JR東海HPを参照)。 ※外出自粛要請を受けての運休および運転計画の見直しではなく、お客様のご利用状況を踏まえた対応ですのでご承知おきください。 〇JR西日本  在来線を終日運休とするような予定はありません。新幹線や在来線特急はすでに運休を決めた列車があります(JR西日本公式HPを参照)。  また、関空特急〈はるか〉は、2020年4月1日(水曜日)から全列車6両編成に変更し、1・3・5号の5号車を指定席から自由席に変更しています。 〇JR四国
運休の普通列車は一部を除き2020年4月6日(月曜日)より運転再開。それでもなお、一部定期特急列車の運休が続いている。

運休の普通列車は一部を除き2020年4月6日(月曜日)より運転再開。それでもなお、一部定期特急列車の運休が続いている。

「外出自粛要請による計画運休」ではありませんが、JR四国においては、朝・夕の通勤時間帯を避けた昼間の時間帯で、ご利用の少ない列車を中心に運休等を実施しております(注、2020年4月1日〔水曜日〕回答。現在については、JR四国公式HPを参照)。  特急列車については、出張や観光等でのご利用のお客様を中心に大幅な落ち込みが見られており、通勤時間を除く昼間の時間帯で、お客様のご利用状況を考慮し実施しております。  普通列車については、普段の生活でご利用のお客様の出控えなどの影響もあり、大幅な落ち込みが見られており、通勤時間を除く時間帯でお客様のご利用状況や前後の列車ダイヤを考慮し、お客様への影響が比較的少ないと考えられる列車で実施しております。  今後の予定ですが、現時点のところ具体的な計画はありませんが、今後の状況によっては、運休を拡大する可能性はあります。 〇JR九州  不要不急の外出自粛要請と計画運休についてですが、弊社としましては、現在のところ検討・実施する予定はございません。
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大手私鉄の対応は?
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