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ANAのCAが語る「医療用ガウン縫製支援」報道の舞台裏

 今月7日、安倍首相が緊急事態宣言発令の説明をする最中に「欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました」と、航空会社の医療現場に対する支援政策を唐突に発表した。
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※写真はイメージです(以下、同)

 翌日、西村康稔経済再生相も報道番組で「CA(客室乗務員)さんたちも手伝うという申し出があった」と述べたが、対象をCAと限定したことで「女性に裁縫をさせるという感覚が気持ち悪い」などとネットを中心に批判が巻き起こった。しかし、当の本人たちはどう考えているのだろうか。現場で働く生のCAの声を集めた。

報道から社達までは2日遅れ

 ANAでCAとして働く小松綾さん(仮名・30歳)は同僚からのLINEでこのニュースを知った。 「最初は『また、うちの会社がなんか言い出したな……』と思いました。個人としてはやれと言われたらやるけど、プライドを持って働く上の管理職の人たちはどう思っているんだろうなとは感じましたね」  “ガウン縫製”報道から2日後の9日、朝日新聞デジタルで「ANAグループが製造を支援する方向で検討していることが9日、わかった」と報道された。そして同日、「客室センター各位 4月7日の報道について」と題された業務連絡が届いた。内容は以下だ。 「4月7日の夜、『休業中の ANA 客室乗務員らが医療用ガウンの縫製に乗り出す』とのインターネット記事が配信されました。  現時点で会社として決定していることは何もありません。  現在、医療物資の不足に対応するため政府から経済界にさまざまな要請が届いているのは事実です。  ANA グループは、取り巻く環境が厳しい状況においても『企業市民として社会に貢献したい』との思いは創業当時と変わらず、社員の安全確保を大前提に内容を精査し、検討を行っています。  報道内容に一喜一憂することなく、冷静を保ち、特異な環境におかれている今こそ、『あんしん、あったか、あかるく元気!』に ANA’s Way を具現化していきましょう。 以 上」  “ANA’s Way”とはANAグループの行動指針のこと。客室センター宛のメッセージに対して小松さんは「うちの会社が言いそうなことだとは思います」と語る。 「会社の方針としては理解できます。『民間ならではの社会貢献をしていこう』というような、JALとは違う、新しいことを常にやっていきたいと思っている会社なので。だから今回のタイミングでも、うちらしいことを言い出したなとは思いました」
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CAは冷静に海外事例を見ている
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