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ANAのCAが語る「医療用ガウン縫製支援」報道の舞台裏

海外ではすでに進んでいたCAの医療支援政策

CA 同じくANAでCAとして働く佐々木涼子さん(仮名・26歳)も、「海外の他社の状況を見ても理解はできます」と話してくれた。 「イギリスの航空会社数社では客室乗務員が病院で医療支援スタッフとして働くことが決まっていますし、世界全体で社会生活が苦難に陥っているなか、私にも社会貢献できることがあることは嬉しく思います。周りの同僚も、『なにかできることがあるのは嬉しいよね』と話していました」  ネット上での「セクハラオヤジの考え方だ」などの批判は、「CAさんたちも手伝う」とCAに限定して発言した西村大臣にのみ当てはまるもので、社会貢献を望む彼女らの活動には当たらない。しかし、会社に対する不満はあると言う。 「今できることをやろうとする、経営理念にも則った活動はいいのですが、それがネットニュースから私たちに知らされることには誠意を感じません。まず、最初に社員に伝えてからが筋でしょう? 社達には『決定はしていない』と書かれていましたけど、検討はしているのでしょう? じゃあまずは相談しろよ、とは思いますけどね」

給与や不透明さにはもちろん不満がある

 7日夜に報道があり、業務連絡の形で通達が来たのは9日。「6400人のCAが休業する」との報道もあって不安を感じさせられているなかで、会社の対応を誠実ではないと思っても仕方がない。  また、「もちろん、給与面に対する不満もあります」と、同じくANAのCAである中村かおりさん(仮名 29歳)は話す。 「生活に対する不安は強いですよ。CAは基本給が低く、フライト手当が大きい。搭乗した分の手当が生活を支えているのですが、4月はスタンバイを含めて休みが半月以上あります。恐らく、給与は10万円代。減便が落ち着く見通しも立たないので、新型コロナの影響が長引くのが怖いです」  また、社内の格差が会社への不満を強める要因でもある。 「パイロットはあまり給与が下がっていないはずなんです。うちはパイロットと一般職では労働組合が異なり、パイロットの組合は力が強いので、あまり給与にも影響がない。その辺の事情が透明化されず、ただただ『ANA’s WAYで頑張っていきましょう』と言われても、足並みは揃わないとも思います」  日本ではしばらく見られなかったウイルスによる厄災で、業界の垣根を越えた協力が求められているのは事実。しかし、現場に駆り出される人々の生活を無視してはいけない。政府や会社上層部の“責任ある決断”に、大きな期待が寄せられている。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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