救済のため!? 被災女性をスカウトする風俗店
―[風俗嬢に転身した被災女性の悲劇]―
少しずつではあるが、着実に復興への道を歩んでいるかに見える被災地。しかし、被災者の生活再建の道は困難を極めている。それは、被災女性の置かれている過酷な状況を見れば、よくわかる。風俗とは縁のない生活を送っていた彼女たちが風俗嬢に転身し、地元から遠く離れた歓楽街に「単身赴任」しているというのだ。その悲劇の様を追った!
◆少しでも生活費が欲しい被災女性を風俗店が次々とスカウトしている
厚生労働省の集計によれば、震災発生翌日から5月13日までの間に、被災3県で失業手当の手続きを行った人は10万6461人。震災失業者は今後も増えると予測され、被災地の雇用問題はかなり深刻な状況に陥っている。
そんななか、被災女性がナイトワーク、特に風俗嬢として東京などの歓楽街で働きだすケースが増えている。スカウト会社幹部のD氏がその現状を教えてくれた。
「最初は『被災地で働く自衛隊員や土建業の男たちの風俗需要が爆発する』と踏んで、東京から風俗嬢を送り込もうと東北の店にアプローチした。でも、営業可能な店では被災した姉妹店の女のコを抱えこみ、さらに風俗未経験のコも被災後に職を失って働きだしていて、完全に人余りの状態だった」
だが、被災地では「風俗という場合ではない」と自粛ムード。被災地の風俗店では、稼げない女性を呼び寄せる別エリアの風俗店が増えたのは、必然の流れだった。
◆稼いだお金の4割をスカウトと店が抜く
「3月下旬から岩手、宮城、福島など被災女性からの求人の問い合わせが増加。中には『お父さんが亡くなって、家族に仕送りしなきゃいけない』と面接の途中で泣きだすコもいて、採用条件に満たない容姿のコでも、ほかの店に事情を話して受け入れてもらうようなこともあった」と語るのは、都内のデリヘル業者・A氏だ。
また、「都内では被災地の女性を積極的に採用している店が増えた。福島県出身の女性は、客からの無用な差別や同情を避けるため、出身地を伏せるように配慮することもある」(A氏)と話す。
だが、こうした風俗業界の動きは、決して「救済」などではない。
前述した、被災地に風俗嬢を送り込むプランが崩れた被災地外の風俗店は、方針を変更。被災女性を東京などにスカウトしたり、求人HPに「寮付き」を強調して集めたりするのには、裏がある。
「まず『上京しても働けるお店が見つかるまで家賃も飯代も出してあげるよ』と呼び寄せる。そして、店が決まったらスカウトバックは通常10~15%のところを20%。さらに、店も通常10%のところを20%も厚生費と称し、多めにバックを取っている」(前出・D氏)
被災女性は泣く泣く風俗嬢になっても、実入りは稼ぎの6割。さらに、ここから寮費がマイナスされるという搾取の構図が出来上がっているという。
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