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「給付金10万円」のオンライン申請、その難易度は?

スマホ申請はNFC搭載機種が必須

 では、給付金のオンライン申請のためには必ずしもカードリーダーを購入しなければならないのか。  実は、カードリーダーの代わりにNFC搭載スマートフォンを使う方法もある。『マイナポータルAP』というスマホアプリからオンライン申請を行うことも可能だ。iPhoneの場合は、7以降の機種がマイナンバーカードの非接触読み取りに対応できる。 マイナポータル しかし、世に出回っているスマホの全てがNFC搭載機種ではない。最近では安価なNFC機種が増えてはいるが、それでも低価格帯の製品はNFC非搭載が普通だ。自らの所持するスマホに高性能多機能を求めないライトユーザーは、結局のところ給付金のオンライン申請ができないということになってしまう。このあたりで、市民間の情報格差が露呈していることは否めない。

情報格差が浮き彫りに

 以上のことから、給付金のオンライン申請はある一定以上のデジタル知識がなければ実行は難しいかもしれない。  もちろん、この記事を最新ナンバーのiPhoneで読んでいる読者諸兄諸姉であれば、アプリの利用にもあまり悩まないはずだ。しかし、皆様のご家族はどうか? 大学生や新卒社員の若者がこの記事を祖父母に読ませつつ「スマホでも給付金の申請ができるんだよ。おばあちゃんがもやってみたら?」と勧めた結果、一切のつまづきもなくオンライン申請を完了させたとしたら相当な成果だ。実際はかなり難儀するだろう。むしろ挫折する可能性が高いのではないか。残念ながら、これが情報格差と呼ばれる現象である。  政府が意図したことではないはずだが、「自己申告制」という方法は現代ならではの社会問題を浮き彫りにしていると言わざるを得ない。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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