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コロナパニックの隙を突いて日本の領海内で暴れまわる中国船

国際法だけでは国は守れない

 多くの日本人は「日本の領海で日本の漁船を外国の警察の船が追い回した」と聞くと、きっと「何か大きな秩序を守る組織が非道な外国の振る舞いを処罰してくれれば一見落着」といった感覚で見ているかと思います。しかし、今回中国がやったことは明らかに国際法違反ですが、だからといって「それを処罰してくれる機関」などどこにも存在しないのです。  国際海洋法条約では、すべての船舶は、沿岸国の領海内であっても無害である限り通航の自由があります。たとえ外国の軍艦や中国人民武装警察部隊海警総隊(海警)所属の公船であっても、同様に領海内の無害通航権を有しています。  しかし、今回の事案のように、我が国の領海内において操業中の日本の漁船を、外国の法執行機関の公船が追い回すなどということは明白な国際法違反であり、絶対に無害通航とは認められません。しかも、彼らは「自分たちの領海内で違法操業する外国船を取り締まっている」と言っているわけですから、いずれ追尾するだけでなく日本の漁船を拿捕するようなことも十分起こり得るのです。これまでのレベルを超えて、中国海警の公船は一段と攻撃的になったと言えます。  海上保安庁は自国の漁船を守るために体を張ってこれを阻止しています。もし、日本の漁船が一隻でも中国の海警に拿捕されれば、我が国の領海内での違法な法執行を日本が許したという既成事実になります。また、追尾される危険を避けて漁に出る日本船が減れば、それだけ中国の船が日本の領海を自由に航行するようになってしまいます。  外国の「民間船舶」が日本の当局の指示に従わず、正当な理由なく領海内を徘徊し続けた場合は、無害通航が成立せず、海上保安庁による臨検、逮捕等の法執行が可能です。一方、「軍艦や公船」などに対しては、国家は自国領海の通航に係る自国法令の遵守を要請するとともに、要請が無視された場合、領海から直ちに退去することを要求できます(国連海洋法条約第30条)。  しかし、「領海内で無害でない通航をしている外国の公船が、領海からの退去要求に従わない場合」に執りうる具体的な措置は、国連海洋法条約には規定されていないのです。もちろん、民間の商船のように臨検、逮捕はできません。  ときどき「では打ち払え! 撃沈せよ!」という勇ましい意見を持つ人がいますが、そうなると、今度は日本が国際法的に違法行為を行ったことになります。挑発に乗って短気を起こしてしまえば、国際社会から非難されるのは日本のほうなのです。  また、日本が武器を使用して中国の公船を阻止したとなると、中国側は「横暴な日本から自国の公船を守るため」と称して軍艦を出してきます。それに対してこちらも護衛艦で対処するようになれば、取り返しがつかない事態に至ってしまいます。  これまで中国は、少しずつ公船を増やし、切れ目なく尖閣諸島沖をローテーションで周遊しながら人員や予算の乏しい海上自衛隊を消耗させてきました。とはいえ、中国海軍にとって、憲法9条で両手両足を縛られた海上自衛隊などは敵ではありません。何より、最も脅威だった米軍の第七艦隊の力が弱まるチャンスを虎視眈々と狙っていたのです。  そして今、新型コロナウイルスの感染拡大で米国も米軍も大きな痛手を負っています。今なら日米同盟、日米安保も機能しないだろうと考えているのかもしれません。  新型コロナウイルス問題で景気は冷え込み、失業者があふれると予想されています。社会不安が懸念されますが、逆に言えば慢性的な人員不足に悩んでいた自衛官を増員する機会は今しかありません。  先ほどご紹介した長尾議員の「中国の『力による支配』を排除し、尖閣諸島を、日本の主権を、断固守り抜くことを強く求めます。」という国会発言に強く賛同いたしますが、国を守り抜くためには決意だけでは足りません。今こそ自衛隊の増強と増員のために力を注いでほしいと切に願います。沖縄の海で日本人の命が奪われることのないよう、憲法改正を含めた法律・制度・予算改革を強く求めたいと思います。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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