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コロナ最前線で戦う自衛隊は日米同盟を脅かす「リスク」になる

その86 新型コロナウイルスと日米同盟

新型コロナウイルスとの戦いに駆り出された自衛隊

自衛隊

陸上自衛隊公式Twitterより引用

 成田・羽田の入国者検疫業務、PCR検査の支援や入国者の移送に自衛隊は災害派遣され、自衛隊中央病院や防衛医大病院以外の自衛隊病院も新型コロナウイルスの患者を受け入れています。  ダイヤモンドプリンセス号や政府チャーター機での帰国者対応など、自衛隊は早期に新型コロナウイルス患者への対処を始めていました。埼玉県等、地方自治体でも陽性患者の搬送や宿泊支援の災害派遣要請が続いています。自衛隊員を感染から守るマスクや手袋、タイベックなどの防護具が毎日大量に消費され、ただでさえ武器弾薬燃料代が足らない自衛隊の防衛予算が削られていきます。予算の少ない自衛隊が、全国で患者対処をするとなると心配です。  自衛隊が災害派遣に出るたびに、「自衛隊さん、ありがとう」の声が上がります。私たちの国にとって、自衛隊はなくてはならないと感謝する人も増えます。その評価は嬉しいことでしょうが、私たちが気づいてない大きな問題がもう一つ起こりつつあります。  それは在日米軍との関係です。

在日米軍司令部は「非常事態宣言」を日本全土に拡大

 米国国内における新型コロナウイルスの感染拡大は深刻です。すでに中国を抜き、もっとも感染者数の多い国となりました。米軍の防衛の要である空母でも感染者が出ています。  原子力空母「セオドア・ルーズベルト」でも600人近い感染者が確認され、4月13日には初の死者が報告されました。空母には5000人近い乗組員が乗っています。感染を封じ込めることができるのか? 神経を尖らせて事態の推移を見守る以外ない状況です。  米軍は11隻の原子力空母を所持していますが、そのうちの4隻で感染が報じられています。米軍の即応力にも影響がないとは言えません。  原子力空母「セオドア・ルーズベルト」で初の死者が出た日、台湾沿岸で中国海軍は空母「遼寧」が軍事演習を行っています。この空母「遼寧」とその他の艦艇は11日に宮古海峡を通過しました。宮古海峡は国際海峡ではありません。無害通航権は許されている排他的経済水域ですが、わざわざそこを通過する中国海軍の軍事的パフォーマンスに強い野心を感じざるを得ません。  在日米軍でも新型コロナウイルス感染者が確認されました。15日に在日米軍司令部は関東エリア限定だった「公衆衛生上の非常事態宣言」を日本全土に拡大しました。これは軍人だけでなく、その家族や軍属などの公式・非公式な移動を制限する強い措置です。新型コロナウイルスから、米国が軍人やその家族を守ろうとするのは当然の措置と言えるでしょう。

河野防衛相も「コロナ追跡アプリ」の導入を検討

自衛隊

陸上自衛隊公式Twitterより引用

 さて、自衛隊も緊急事態宣言を受けて、時差勤務や消毒などの対策を各基地で行っています。しかし、すでに秋田駐屯地や留萌駐屯地など自衛隊内感染者が確認されています。  河野太郎防衛大臣は自衛隊内で感染が起きた場合、濃厚接触者の特定やその行動を追跡できるようなアプリの導入を検討しているようです。しかし、感染者を隔離するにしても、営内で集団生活をしている自衛隊員には逃げ場がなく、生活支援には不安が拭えません。  海上自衛隊ではさらに問題が深刻です。水上艦艇や潜水艦は密室です。一度患者が出てしまえば、感染は容易に拡大します。  中東に派遣されている護衛艦「たかなみ」では、給油や補給で寄港したときも上陸許可を必要最低限の乗組員にしか出さない対策を実施しているようです。海外への長期航海は精神的にも肉体的にも大きな負担です。隊員たちは寄港中、ホテルでゆっくり眠ることを心待ちにしていたはずです。上陸させず狭い艦内で休暇を取らせるとなると、職場の上下関係から離れられず、心的ストレスは積み重なります。  海上自衛隊の艦艇勤務の人気がない理由は、航海が長く休暇をゆっくり取れないことです。寄港しても艦内に隔離されていれば、新型コロナウイルスに感染しないかも知れません。しかし、せっかく育て上げた艦艇乗組員が「もう、辞めたい!」と言い出さないか心配です。職場から離れられないとなると、上官や同僚にいつも通り気を遣わなければなりません。それじゃ、気が休まらないですよね。ご苦労をお察しいたします。
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新型コロナウイルスで広がる同盟国間の不安材料
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