仕事

バイト先の休業で40連休中の30代男性。貯金残高は1万円、家賃が払えない

頼みの綱は10万円給付。しかし、いまだ申請書すら届かず

 連休に入る前、木村さんは失業給付金を支給してもらおうと会社都合の退職を求めた。その協議はうやむやのままに終わった。国からの助成金がもらえなくなってしまうためなのか、会社側が躊躇しているようにも感じた。それでも木村さんは「(当時は)何をやったらいいのかと面倒くさくなって、自分で調べなかったのがいけなかった」と悔やむ。  新年度から勤務日数を減らすことを決めていたが、これが追い討ちをかけた。4月以降週4回の勤務を週2回に減らし、1週間当たりの所定労働時間が20時間未満になった。これにより会社の雇用保険から外れた。給与は12万円余りから半分になるが、代わりに代表を務める街おこし団体の活動で収入を得るつもりだった。木村さんは当時の状況をこう振り返る。 「東京オリンピック・パラリンピックを見据えて海外からやってくる人たちに東京の下町案内ツアーを地元観光協会と協力して進めていました。その話も頓挫し、やるべき事がなくなって……」  描いていた青写真は新型コロナウイルスの影響で崩れた。頼みの綱は国からの10万円給付だが、いまだ申請書すら届かない。  高齢の親は退職後もアルバイトをして生計を立てているため、心配を掛けたくない。コロナが終息するのを待つばかりだが、預金残高を見るうちにもう後がないと危機感を募らせている。

宿泊施設オーナー「まさか工場内でアルバイトするなんて」

「この状況なので、会社からよそでアルバイトしてもいいと言われています。正直苦しい状況なのは、正社員もアルバイトも変わりません」と木村さんが働く宿泊施設オーナーの三重さんが打ち明けた。  三重さんによると、会社からは正社員に対して給与6割に当たる休業補償金が配られている。これで当分の生活はしのげるが、先行きが見通せないことは変わりない。工場内での仕分けアルバイトを5月限定で始め、週4回20時間余り行っている。  三重さんは今の状況について率直な思いを明かす。 「1年前にはまさか自分が工場内でアルバイトしているなんて思っていませんでした。店の売り上げが落ち込んでいるのを踏まえると、会社自体の存続に関わる事態なのかと思っています」(三重さん)  休業補償金が支給される対象、具体的な金額面など親会社の経営状況を考慮すると、会社にあまり期待できないのも分かっていた。仮に会社から補償金をもらえない立場だったらとの質問に、三重さんは「即働きますね。貯蓄がないならなおさらです」と答える。会社が全従業員の生活を守ってくれるとは限らない。自分の身は自分で守らなくてはいけない。新型コロナを受け、その思いを一層強くしている。
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政府のコロナ対応遅く、生活困窮者増えかねない
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