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木村花さんを追いつめたネットの誹謗中傷、サイト運営者の責任追及はできるか?

言論の自由を盾に

 一応、読むには読んだが、手続き自体がイヤになってしまい、弁護士にアドバイスを求めたところ、次のような答えが返ってきた。 「おそらく弁護士でないとサイト運営者は回答しない。回答しても、『言論の自由』を盾に開示しない可能性が高い。そうなると、裁判所で仮処分を求めることになるが、まず、書き込みのIPアドレスからメールアドレスを特定し、サイト運営者に開示させるのに着手金20万円+成功報酬20万円、次にメールアドレスのドメインからプロバイダに対して、契約者の名前を開示させるのに着手金20万円+成功報酬20万円、合計80万円かかります。それから訴訟ということになります」  仮に勝訴しても、100万円ぐらいが限度らしい。これだけの手間と暇をかけて訴訟を続ける意味はあるのだろうか。その間にも書き込まれた情報は垂れ流されており、その不利益を受け続けなければならない。木村花さんのように相手が複数であれば、事実上、不可能に近いだろう。  現在、インターネットの署名サイトでは、「SNSの匿名アカウントによる誹謗中傷を撲滅するためにプロバイダ責任制限法の改正と刑事罰化を求めます!」という活動が始まっている。  プロバイダ責任制限法が制定されたのは2001年であり、それからインターネットを取り巻く社会環境は大きく変わっている。現行法は時代遅れも甚だしい。今のままでは正体不明の投稿者は最強なのだ。その責任がきっちりと追及される仕組みづくりが必要だろう。〈文/諸岡宏樹〉
ほとんどの週刊誌で執筆経験があるノンフィクションライター。別名義でマンガ原作多数。1969年生まれ。三重県出身。近著に『実録 女の性犯罪事件簿』
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