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ヤフオクの「1円オークション」に潜む罠。数万円の配送料、商品が届かない…

 ヤフオクで出品されている商品を落札し、入手する。オンラインオークションは、現代人の生活にすっかり根付いている。が、そこには大きな落とし穴もある。
1円

ヤフオクでは「1円スタート」も多いが…

 ヤフオクの名物とも言える「1円スタート」のオークションでは、しばしばトラブルが発生しているのだ。一見、お得と思える1円スタートだが「最終的に大金を払う羽目になった!」という人が後を絶たない。1円で落札したのに、なぜ!?

1円で落札した商品の送料が数万円に…

 ある家電製品がヤフオクの1円スタートで出品されている。普通であれば、こうしたオークションには多数の入札者が現れる。しかし幸いにも自分以外のライバルは存在しない。このまま1円で落札してしまった。少々衝動買い気味ではあるが、1円ならばまったく問題はない――。  さて、このような状況の取引があった場合、まず注意すべきは何か。  ヤフオクの1円スタートは、まず間違いなく1円の価格に終わらないと考えるべきだ。言い換えれば、1円のまま終わってしまった商品には何か裏があるということでもある。  いざ取引の段になって、落札者は気づいてしまうはずだ。どうして配送料がこんなに高いんだ!?  商品価格は1円だが、配送料という名目でその商品の定価以上の金額を請求されてしまう。こうしたことが、ヤフオクでは後を絶たないのだ。今年3月頃のマスク不足の際も、マスク自体は定価なのに配送料が数万円という設定のものがヤフオクやメルカリ、Amazonに出品されていた。  仮にその法外な手数料に目をつぶり、決済を完了させてしまう。こうなればあとは商品が届くのを待つのみだが、ここで出品者がこう言い出した。 「配送は今から1か月後になります」  さすがにこれはおかしい。1か月も待てない。落札者はたまらずキャンセルを願い出る。すると、 「キャンセル料は決済金額の10%です」  このような出品者が、残念ながらヤフオクには複数存在する。

ヤフオクで横行する「無在庫出品」

 この出品者は、極めて高い確率で「無在庫出品」を行っている。落札の時点でその商品を確保していない状態、即ち無在庫のままの取引は、転売を前提とした行為である。出品者Aが落札者BにノートPCを配送しなければならないが、落札者Bが入金を済ませた時点で商品はどこにもない。だから出品者Aは家電量販店Cに行き、値引きセール中の該当ノートPCを購入してそれを配送する。  ヤフオクの規約では、こうした行為は禁じられている。「8. 商品の現物が手元にない状態で出品すること」としっかり明記されているが、現実問題としてそれを反故にする出品者が後を絶たない。 ヤフオクの規約 その上で、このノートPCは1円落札だが高額な配送料が設定されている……ということがある。「殆ど詐欺行為じゃないか!?」と言われそうだが、こうした無在庫販売の知識を「効率よく稼げる副業」として有料の情報商材に組み込む「ビジネスコンサルタント」もいるほどだ。

消費者も規約を読もう

 これからヤフオクで入札しようと考えている消費者は、まず目当ての商品の「商品説明」を必ずチェックしよう。  ここに具体的な配送料が記載されている場合が大半だが、もしそうでなければ警戒が必要だ。配送料の確認は、消費者にとっての権利でもある。このあたりで躊躇してはいけない。  また、ヤフオクでの決済から8日経っても商品が届かない場合、ヤフオク運営に対して「未着連絡」ができるようになる。それと同時に返金申請が可能だが、決済完了から13日以上(決済完了から12日後まで)が経過してしまうとこの申請ができなくなるので要注意。  消費者もヤフオクの規約に目を通し、身勝手な出品者の言いなりにはならないよう心掛けたい。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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