6月19日、異例のプロ野球開幕。注目の怪物ルーキ―佐々木朗希は冷静だった
―[17の閃光~佐々木朗希物語~]―
“怪物”へのターニングポイントはボールの変更だった
ターニングポイントはボールの変更だった。硬式球に近いボールとして開発されたKボールを使用した時に、今までにない感覚を感じた。そして高校で硬式球を握ると、さらなるフィット感を覚えた。
高校1年生の夏の岩手県大会。盛岡北戦でリリーフとして初登板をすると、147km/hをマーク。この時、初めてメディアに取り上げられることになる。
「あるスポーツ新聞の東北版で大きく紹介いただきました」と佐々木朗希。怪物が、まだ怪物ではなかった頃の話だ。この時は東北の逸材の一人にすぎなかった。しかし、ここから世間の注目度は一気に上がり、自身も思いもしなかったほどフィーバーは過熱する。
高校2年生の夏が終わるとその名は次なる注目選手として全国に広まり、日本代表候補にも名前が挙がる。高校3年生の夏のフィーバーは語るまでもない。時には自身は投げていない試合でも取材を申し込まれることもあった。こればかりは若者も困惑するしかなかった。
ストレートだけではなく変化球も投げられるところを見てほしい
千葉ロッテマリーンズに入団してからも、その一挙手一投足をメディアは注視した。その中でも最大のキーワードはやはり「球速」。連日報道され、球速に関する質問を浴びる毎日。ただ、その現実から目をそらすことも逃げることもしない。球速に注目が集まる事を宿命とばかりに受け止め、否定はしない。
「確かにどうしても球速に目がいきがちですが、気にはしていません。スピードが出たらいいなあと自分も思います。ただ、自分はスライダーやフォークも投げる。ストレートだけではなく変化球も投げられるところを見てほしいし、評価される投手になりたい」
18歳の若者は落ち着いた口ぶりで自分を冷静に捉えている。プロ野球ファンの注目が集まる中、こうしてプロ1年目の歩みが始まった。ルーキーイヤーはまさかのスタート。新型コロナウイルス感染症予防の観点から、開幕は遅れて6月19日に開幕となった。
無観客の中での日々。異例の1年の中で、どのような歩みを見せるのだろうか。世間の注目も、メディアの球速報道も冷静に受け止め、前を見つめる。プレッシャーもどこ吹く風のように落ち着いて汗を流す背中は頼もしい限りだ。
背番号「17」がプロ野球界でどのような閃光を放つか。どのような足跡を残すか。野球ファンはじっくりと楽しんでほしいと思う。
【17の閃光~佐々木朗希物語~ 第1回】
文/梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
―[17の閃光~佐々木朗希物語~]―
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