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2021年シーズン、“令和の怪物”佐々木朗希が自信をつかんだ試合とは

「身体が動かない」。51年ぶり優勝マジック点灯の朝、初めての経験

佐々木朗希オリックス戦 起きようと思ったら、身体が動かなかった。10月14日のバファローズ戦(京セラドーム)。先発を任されることになっていた佐々木朗希投手は朝10時に目を覚ました。ただ、身体は動かなかった。初めての経験だった。 「起きようと思ったけど、身体が動かなかった。自分で必死に身体を動かして、やっと思い通り動いた。初めての経験でしたね。あれが金縛りという現象ですかねえ」  佐々木朗希はその時の事を振り返った。首位のバファローズと1.5ゲーム差で迎える大事なゲーム。しかも相手先発は同い年の宮城大弥投手。なによりもマリーンズが勝てば51年ぶりの優勝マジック9が点灯するという大事な試合だった。  19歳(当時)の若者に緊張するなと言っても、簡単な作業ではない。否が応でも意識をした。眠りにはついても脳は緊張をしたままだったのであろう。身体と脳はそんな状況でいつもと違う反応をし、金縛りのような現象は起きた。 「夜は普通に眠ることができたのですけどね。でも、やはり勝った方がリーグ優勝に向けて有利になる試合で相手は宮城。意地でも負けられないという気持ちを持っていました。自分が思っていたより緊張していたのでしょうね。まさかの現象が起きました」と佐々木朗希は笑う。

不安定な立ち上がりをベンチで猛反省

 プロ入り後、初めて中6日での先発マウンドに上がった。マリーンズは初回の攻撃で宮城から3点を奪う絶好のスタート。しかし佐々木朗希は目を覚ました時と同じようにマウンドでも異変を感じた。 「マウンドでも身体が動かないというか、思い通りに投げられない感覚になりました。ブルペンではまったくそんなことはなかったのですけど、マウンドに上がると、緊張でなにか違う感覚。そんな立ち上がりになってしまいました」  先頭の福田はいい当たりをするも右飛に打ち取る。続く宗の打球は左中間を割るかと思われたが、中堅の岡大海外野手が頭からスライディングしてキャッチ。その後、連打を浴びて一、二塁とされるが、5番モヤを二ゴロ。バタバタした立ち上がりとなったが、なんとか無失点に切り抜けてベンチに戻った。そこで佐々木朗希は猛反省をする。 「本当に守りに助けられた立ち上がり。ベンチにもどって、しっかりと修正をしないといけないと思いました。なんでダメだったのか考えました。1イニングと短い時間しかなかったのですけれど、なんとか修正をしました」
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「試合の中で修正できる」との手ごたえを感じた
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