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第一車線はタクシードライバーの戦場…コロナ禍で激化する客の奪い合い

タクシー行列

コロナ禍で激化する客の争奪戦

 別にタクシーを探しているわけでもないのに、タクシーが寄ってきたりしたことありませんか? タクシードライバーは、常に人の一挙手一投足に目を向けています。少しでも「んっ」という仕草をしたようなら、そこに目掛けて寄っていきます。タクシードライバーは、格好良く言えば「ハンター」悪くいえば「思い込みの激しい人種」なのです。  そんなこともあり、お客様を巡ってカーチェイスさながら、タクシー同士は常に競い合い、カーレースの実況をつけたくなるくらいのデットヒートが公道で繰り広げられます。  タクシードライバーは、お客様を乗せられるポジションの第一車線(歩道側)を常に走りたいものです。  始めから第一車線をキープしながら走るタクシーA。第二車線から(中央分離帯側)から虎視眈々と第一車線を狙っているタクシーB。AはBを入れまいと、BはAの前に入ろうと、抜きつ抜かれつのレースがはじまります。しかし、そのレースに夢中になり過ぎてお客様を見落とし、マイペースに後ろを走っていたタクシーCが奪っていくというオチがついてきます。お客様を乗せるという本来の目的を忘れ、どうでもいいことに真剣になる……どっかでよく聞く話ですよね。  特にお客様が捕まらない14時~17時頃までの時間はデットヒートのピーク。今やほとんどのお客様が新型のジャパンタクシーに乗りたがるので、旧型のセダンタイプのドライバーはジャパンタクシーを目の敵にして、多少強引でもお客様を乗せたりもします(お客様が乗る意思を示していないのにドアを開け強引に乗せたり)。筆者自身、危うく事故になりそうなことが何度もありました。  もう一つの戦場は交差点です。  信号待ちの時、信号の向こう側に手を挙げているお客様がいる。「チャンス!」と意気込み周りを見渡すと隣に空車のタクシー。この時、ここでの信号はサーキット場のシグナルへと変わり、ドライバーは、緊張を高めているF1レーサー気分。空ぶかしまではしませんが、身を乗り出し信号を変わる瞬間を凝視します。しかし、そこに交差する道路の左から来たタクシーがひょいと左折して、そのお客様を乗せて行ってしまいました。呆気なく戦わずして勝負が終了……。なんてこともよくある話です。  いずれのケースにしても、勝負に関わっていない無欲のタクシーがお客様をゲットしています。無欲の勝利というものですかね。こんな場面にも生き方の教訓が反映しているように思います。  タクシー業界の4~6月の売上は、約1218億円だった前年と比べて、約700億円にまで大幅に落ち込みました(国土交通省調べ)。そのようなコロナ禍でお客様が激減する中、その競い合いは激しさを増すばかりです。タクシードライバーは、運転とお客様を乗せるという2つの行為を同時にそれも確実にしなければなりません。でも、正直どちらかに気を取られれば、どちらかが疎かになるということも否めません。タクシーの近くを走る時は、「急ブレーキ」「急な進路変更」など「急」に備え、十分な車間距離をとり自ら事故回避に努めたほうがいいでしょう。
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行列の一番後ろに入るのはマナー違反?
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