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タクシードライバーが客に道を聞くのはなぜ? 新人ならいざ知らず…

行き方は生き方にある

タクシー また、目的地に向かうまでの道中、都度都度、選択する道が出てくる。  例えば陸橋と側道。普通なら交差点などの上を通る陸橋の方が早そうだが、日や時間帯によって側道が早いという時もある。アンダーパスと側道も然り。その他にも都内には随所にこのような場所が存在する。急いでいる時に使う裏道も、皆、考えていることは一緒であろう、裏道が裏道でなくなるくらいに混むこともある。 「急がば回れ」とよく言ったものだと思う。  タクシーをよく乗る人は、ドライバーが道に詳しくないことを前提にルートを的確に指示する。私が選択した道、私が全て責任を持つ!と言わんばかりの潔い人がいる。  また、目的地までのルートを聞かれて困る人もいる。ドライバーのルート選択にイチャモンをつけクレームを入れる輩だ。こういう人は、何かしら人のせいにしたがる。  また、そういう中にはルート確認をとるドライバーに曖昧なルートを伝え、最後には「いつもと違う道だ!」とクレームを言い、これまたその値段では到底着かない金額をふっかけてくる。ドライバーも厄介なことは避けたいので自腹で払う。このことを知ってか知らずか、ある意味、常習犯的な人である。どの世界でもセコい人はいる。  ある日、事故渋滞でなかなか車が進まない時に乗客はふとこんなことを言った。 「何が起こるかわからないね。道も生き物だね。いつも違う顔を持っている」  道に詳しいタクシードライバーとは、早くて安い道を提供することだけではない。目的地には、いろんな行き方(ルート)がある。近道や迂回の道。また、渋滞したりと思う通りにいかないのも人の生き方(人生)に似ている気がする。
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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