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「withコロナ」時代の海外旅行、旅の達人たちの見解は…

旅行作家集団「ブラックロード・ファミリー」とは何者か?

和田虫象氏、丸山ゴンザレス氏 この日(7月19日)、東京都・高円寺のライブハウス「高円寺パンディット」で『モンスター・トラベラー 海外ブラックロード大放談』(イースト・プレス)発売記念トークイベントが開催されていた。新型コロナウイルス対策のため、アルコール消毒や来場時の検温はもちろん、観客は人数限定となり、その様子をライブ配信するという試みだった。  ステージには、著者であるゴンザレス氏、虫象氏が登壇。嵐氏は自宅からのリモート参加となった。
嵐氏

自宅からリモートで参加した嵐氏

 さて、海外旅行本が好きならば、一度は耳にしたことがあるであろう彼らの名前。旅系の界隈では「ブラックロード・ファミリー」などと呼ばれているが、そもそも何者たちなのか。  2010年、『海外ブラックロード』(彩図社)シリーズの著者である嵐氏、ゴンザレス氏、虫象氏が旅のよもやま話をする「海外ブラックロード」ポッドキャスト(ネットラジオ)をスタートさせた。嵐氏が旅にまつわる人たちをゲストで招くようになり、気に入った人たちのことを「ブラックロード・ファミリー」と呼ぶようになったという。  そのメンバーには作家の草下シンヤ氏、さくら剛氏、石田ゆうすけ氏、さらにはお笑い評論家のラリー遠田氏なども名を連ねるという。ただし、それは「嵐さんが勝手にファミリーと呼んでいるだけで、本人の許可は取っていない」(ゴンザレス氏)とか。

ポッドキャスト(ネットラジオ)が10周年

丸山ゴンザレス スラム、夜遊び、メシ……。その後イベントでは、それぞれが持ち寄った旅の思い出写真のスライドを中心に、ディープなトークが展開される。虫象氏による“海外のトイレ事情”など、絶対に雑誌やガイドブックには載せられない内容も(笑)。  そんな今年で10周年を迎えた「海外ブラックロード」ポッドキャスト。『モンスター・トラベラー』は、その傑作エピソードを中心にまとめたものだ。 「10年前に“丸ゴン”(※テレビ出演の影響で「ゴンザレス」の呼び名が一般的になったが、古い付き合いの人間は“丸ゴン”と呼ぶ)と収録した第一回放送など、過去音源が文字起こしされている」(嵐氏) 「ガイドブックには書いていない下品な旅のテクニックとか、世界の1000円以下の風俗店についてなど、とにかく下品な情報満載です」(虫象氏) 「自分で作った居場所であり原点です。そのぶんよそ行きではない本音が出過ぎてとにかく下世話でくだらない話ばっかり。ただ、それが旅人のリアルなんだろうとも思う」(ゴンザレス氏)  今でこそ、テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)への出演で“危険地帯ジャーナリスト”として知られるようになったゴンザレス氏だが、ポッドキャストで番組を立ち上げた当時は、先行きが見えない状態だったと話す。 「出版社を退職してフリーランスになったばかりで。たんに自分を売り出すメディアがほしかったんですが、“ポッドキャスト”というものが今後伸びるかもしれないと思って。のちにポッドキャスト自体が下火になってしまうんですけどね(汗)。  まあ、自分の原点でもある旅をテーマにしようと考えたとき、まっさきに嵐さんが浮かんだ。もはや旅したことがない場所なんてないんじゃないかってぐらい、いろんな場所に行ってましたから」(同)  そこに嵐氏が「気に入った」という節約旅の達人・虫象氏を加え、三人体制で配信が続けられた。 「以前はポッドキャストの番組ランキングがあったんですが、それで1位になって。そのときは、大手の番組なんかをどんどん追い抜いていく感覚がきもちよかった」(同)  こうしてコアな旅人の間では人気の番組となったが、嵐氏によれば、続行の危機もあったという。 「だんだん丸ゴンがテレビの仕事で忙しくなって。じつは、もうヤメようかって話も出ていた。虫象をはじめ、いろんな人の協力があってなんとか続けることができた」(嵐氏) 和田虫像 旅のスタイルはさまざまだが、番組は一癖も二癖もある旅人との対談を中心に配信され、ときには海外旅行中に現地で収録されることもあった。今回、「ブラックロード」ポッドキャストは大きな節目を迎えたが、今後も続いていくのかどうか。嵐氏は協力者たちへの感謝を述べつつも「やっぱり状況は変わっていくから何年後どうなっているのかはわからない」と話す。  ゴンザレス氏と虫象氏は「すべては嵐さんの気分次第」とも言うが、どこかを旅すれば、つのる話もあるだろう。旅を続けるうちは、きっと番組も続いていく……はず。<取材・文・撮影/藤山ムツキ>
ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)がある。Twitter:@gold_gogogo
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モンスター・トラベラー 海外ブラックロード大放談

「こんな旅人になっちゃいけない! 」過激で怖いもの知らず。旅人界のはぐれ者集団「海外ブラックロード」。バンコク、サンパウロ、NY、ヨハネス、プノンペン、バックパッカー、日本人宿、スラム、メシ、夜遊び。ガイドブックには載せられない旅を、くせ者揃いの旅の仲間と語り尽くす! 大人気ポッドキャスト「海外ブラックロード」10周年記念
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