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自衛隊のためにも原油安の今こそ大量に石油を買い付けるべき

アフターコロナに必要な石油は手にはいるのか?

 需要が見込めない今、備蓄と生産コストがかかる油井の維持が難しいのは前述のとおりです。しかし、このコロナ禍が終われば、石油需要は回復します。生産能力が落ちて供給量が縮小したアフターコロナで、世界は熾烈な石油の奪い合いになる可能性が大です。出遅れてしまうと困ったことになりそうです。  火力発電に頼る日本が石油燃料を安定して手に入れられるのかも心配です。原発が維持できていればまだ原子力発電が可能でしょうが、東電はすでに多くの原発を廃炉にしてしまっています。  石油の生産量が減り続け、石油価格が下落している今こそ、日本にとって備蓄を始める絶好の機会ではないでしょうか。
自衛隊

陸上自衛隊公式Facebookより

 国を守る自衛隊の航空機も護衛艦も戦車も、石油がなければ動きません。このまま油井の閉鎖が続けば、アフターコロナ時代の石油の価格はこれまでとは比較できないくらいに値上がりしそうです。日本が前の世界大戦で米国に宣戦布告した最も大きな理由は「石油の枯渇」でした。石油は経済の要です。石油が国の生死を決める重要な物資であることは昭和の頃と変わりありません。今こそ、石油の大量備蓄施設や自衛隊用の燃料備蓄施設を計画してほしいものです。もちろん、自衛隊の使う燃料については最優先です。石油崩壊に予防策を考えておかないと大変なことになりそうです。  石油を運ぶ航路を守るためにも、自衛隊の艦艇基地がみな佐世保や呉、横須賀といった遠い場所にあるのでは不安です。石油を運ぶオイルシーレーンは日本の生命線です。艦艇や航空機の燃料補給ができる施設や燃料の備蓄タンクも一番ホットな場所、沖縄や奄美大島に作ってほしいものです。  ひとたび尖閣諸島沖で紛争が起これば、今ある自衛隊の燃料だけではまったく足りません。この国家の命運を決める投資は、自衛隊だけでなく日本の産業を救うことになるかもしれません。今も昔も、日本の安全保障は石油の安定供給にかかっているのです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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