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「QUOカード付き」プラン、キャンセル料水増し……Go Toトラベルは抜け穴だらけ?

どうすればクリーンなキャンペーンとなるのか?

 それでは不正を防ぎつつ、観光業界を盛り上げるためには「Go To トラベル」はどうするべきなのか。 「あらゆることが何も決まっていないまま、見切り発車をしたので、今後、善後策をいくら立てても抜け穴は存在したままでしょう。1.3兆円の予算を配分するために、政府の委託機関や大手旅行会社が旅行者と宿泊施設の間に入っていますので、どこかに必ず抜け穴はできます。  だから旅行者に旅行後に支払った料金の割合に応じて、還付するシンプルな仕組みに絞るべきだったのではないでしょうか。旅行者にのみ還付すれば、不正防止の対策も立てやすい。  一方で旅行会社や宿泊施設には、日本の魅力、施設の魅力をお客様に伝えるためのブランディングや販路拡大に当てる支援金や、コロナウイルス感染防止による衛生管理を徹底するための補助金を渡す方がよかったと思います」(中村氏)  結局、「Go To トラベル」では大手旅行会社が大きな恩恵を受け、中小業者は不利になってしまう恐れもあるという。割引予算が大手旅行会社に重点配分されるからだ。 「旅行代金を割引対象にするための給付枠申請書類には前年の売上高を記載する欄があり、前年の売上が大きいほどもらえる給付額も大きくなる。つまり大手に多くの予算が回るのです。中小の旅行業者はすでに資金繰りが危なく、さらにキャンペーンが始まれば、お客様を受け入れるために先立つお金が増えます。  それなのにキャンペーンの支援額が振り込まれるのは1か月後から2か月後と言われています。“今すぐ”必要な旅行会社や宿泊施設にお金はなかなか届かないのです。  大手旅行業者の取り扱う施設は、100室以上のホテルも多く、3密回避と言っているのに、結局は、密になるような施設の案内をしてコロナウイルス感染も拡大するのではないか。本当に3密を回避し、なお且つ旅行を促すには、大手が取り扱わない民泊の一棟貸しや小規模型のホテルの方がよっぽど感染防止になる。しかし、大手旅行業者は、民泊や小さい施設は会社の経営上取り扱わないでしょう」(中村氏)  政府の出している計画には、追加予算の予定もあると記載されているようだが、抜け穴の対策と必要なところへ支援を届けることが急務となるのは間違いない。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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